JStories ー 東京都が主催するアジア最大のグローバルイノベーションカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2026」が開幕した。「Sustainable(持続可能)な都市をHigh Technology(高い技術力)で実現する」というミッションを掲げる本イベントは今年で4回目を迎え、過去最大規模での開催となった。ビジネスデイは27日・28日、パブリックデイは29日(水・祝)の計3日間にわたって展開される。
スペシャルキーノートで小池都知事と高市首相が登壇変革と成長を牽引するスタートアップへの期待
登壇する東京都小池百合子知事、高市早苗首相 提供:SusHi Tech Tokyo
開幕初日の4月27日、注目を集めたのが「スペシャルキーノート ―変革と成長を牽引するスタートアップへの期待―」と題したセッションだ。ステージには、東京都知事の小池百合子氏に加え、特別ゲストとして高市早苗内閣総理大臣も登壇。「変革と成長を牽引するスタートアップへの期待」をテーマに、新たな時代を切り拓く挑戦者たちへ向けた力強いメッセージが発信された。国と東京都がスタートアップ政策で足並みを揃える姿勢が、国内外の参加者に強く印象づけられる場面となった。
高市首相は登壇の冒頭で6万人を超える参加者が「サステナブルな都市をハイテクノロジーで実現する」というコンセプトに共鳴して東京に集ったことを歓迎。続けて「スタートアップによって創出されるGDPは、日本の名目GDP比で4%を占めます。これまでの2年間で32%増加するなど経済成長への大きなインパクトがある」と日本経済全体への寄与への期待感を示した。
一方、小池知事は、東京都が掲げるスタートアップ政策「10×10×10イノベーションビジョン」(スタートアップ・ユニコーン企業・官民連携をそれぞれ10倍に増やす目標)を改めて打ち出し、その実現のための新施策として有力なグロース期スタートアップを集中支援する「SusHi Tech Global」と補助制度「SusHi Tech Global Grants」の始動を発表した。また、来年度までに官民連携でスタートアップ向けに10億ドルの投資フローを創出する方針も改めて示し、東京をグローバルなエコシステムのゲートウェイへと育てる決意を表明した。
海外からの参加者の声——「日本市場への入り口」としての東京

SusHi Tech Tokyo
会場では、世界各地から参加した出展者たちが、日本市場進出への期待や、SusHi Tech Tokyoというカンファレンス自体への評価を語った。
コロンビア発のフィンテック企業MonaBitでChief Revenue Officerを務めるVivian Jones氏は、米州・欧州での事業基盤を築き上げた次のステップとしてアジア進出を検討する中で、東京を起点に選んだ。
「日本はアジア太平洋地域で最も強固な金融サービス産業を持っており、私たちにとってアジア進出の出発点です。驚いたのは、日本ではすでに誰もがデジタル決済を使いこなしているということ。他国はまだ現金中心ですが、日本は私たちにとって自然に統合できる市場です」と語るVivian氏は、初日だけで20人以上の投資家と対話を持ち、好感触を得たと話した。
また、イタリアの分散型エネルギー企業KoalaのフルスタックエンジニアVittorio D’Alfonso氏にとっては、今回が初めての日本訪問だった。地域コミュニティ単位で再生可能エネルギーを生成・共有・管理する同社のモデルは日本でも応用可能だと見ており、「日本の方々は信頼できる人が多く、話を始めるのも、何が一緒に実現できるかを理解するのも、とてもスムーズだ」と好感触を示した。
一方、アイルランドのプライベート5G・LTEコアネットワーク企業DruidのEnda Peoples氏(Director Business Development)は、「日本のパートナーや投資家にアクセスするのは、海外から、特に伝統的な業種でアプローチする際には簡単ではないが、SusHi Techのようなイベントは、こうした壁を乗り越える上で決定的な役割を果たしてきました。今年が初参加ではありませんが、参加し続けることで自然な関係が築け、本物のつながりが生まれ、有意義な協業の機会が生まれていると感じる」と話す。
これら海外からの参加者の声は、東京がアジアにおけるグローバル・エコシステムのゲートウェイとして機能し始めていること、そしてSusHi Tech Tokyoが単なる展示会ではなく、国境を越えた実践的な対話と協業の場として育ちつつあることを示していると言っても過言ではない。
過去最大の規模——770社・60カ国、商談件数は1万件へ
提供:SusHi Tech Tokyo
今年のSusHi Tech Tokyoは、数字のうえでも節目となる規模を誇る。出展スタートアップは770社(海外390社・国内380社)と前回比で27%増加し、世界60の国・地域からの参加となった。ピッチコンテスト「SusHi Tech Challenge」には60カ国・地域から820社が応募し、セミファイナリスト18社が選抜されている。
参加者数は6万人(オンライン含む)を見込み、会場内での商談件数は1万件に達する見通しだ。コーポレートパートナーは68社(前回47社)、シティパートナーは22パビリオン(25の国・地域・都市)と拡大。全国の出展自治体は48団体に上り、メディアパートナーも40社と過去最大となった。
注目の新展開——SusHi Tech Globalとオープンイノベーション

提供:SusHi Tech Tokyo
今年の新たな目玉として、グロース期スタートアップ集団「SusHi Tech Global Startups」45社が初めてパビリオン出展することが挙げられる。東京都が重点支援するこれらの企業は、グローバル市場でのスケールアップを目指しており、展示に加えてピッチイベントも実施する。
大企業との共創を促す「オープンイノベーションエリア」も大幅に拡充され、コーポレートパートナー68社が参加スタートアップとともに共同出展。シティテック、アグリテック・フードテック、宇宙、ライフサイエンス、エンタテインメントなど12のイノベーション・クラスター(TIB CATAPULT)も新たに参画し、各領域横断での事業創出の取り組みを発信する。
若者と市民が参加する「パブリックデイ」(4月29日)

提供:SusHi Tech Tokyo
3日目となる4月29日(水・祝)のパブリックデイは、入場無料で都民・市民が最先端テクノロジーを体感できる日として設計されている。ロボットとの対話、VR防災体験、3Dプリンターで制作したモニュメントとの記念撮影、QuizKnockの伊沢拓司さんとクイズで考える「サステナブルな未来」など、子どもから大人まで楽しめるプログラムが並ぶ。学生ボランティアチーム「ITAMAE」(延べ400人以上)が受付・案内・ピッチ運営など会場全体を支え、次世代のイノベーターを育む場としても機能している。
また、全国から選ばれた中高生がアイデアを競う「SusHi Tech Teen Challenge 2026」も開催。未来の都市課題解決に向けた若い発想が、国内外の来場者の目に触れる機会となる。
東京ビッグサイトを舞台に3日間にわたって繰り広げられる今年のSusHi Tech Tokyo 2026。過去最大の規模とコンテンツの充実により、アジア最大のグローバルイノベーションカンファレンスとしての地位をさらに確固たるものにするとともに、スタートアップが世界の課題解決に挑む「アクション」の起点となることが期待される。
記事:Randy Wagenheim
編集:一色崇典
トップ写真: JStories (Moritz Brinkhoff)






