PROBLEM:
米国では独立記念日前後にかけてヒートドームの影響で広範囲が危険な暑さに見舞われ、米国民の約半数におよぶ 1億6,000万人が熱中症のリスクにさらされているとして警告が出されている。欧州でも記録的な熱波が続いており、世界各地で異常な暑さが人々の健康や電力インフラに負荷をかけている。SOLUTION:
ソニーのウェアラブルクーラーは、首元に装着し、本体接触部で体表面を直接冷やすウェアラブルデバイス。部屋全体を冷やすエアコンとは異なり、人を直接冷やすことで、少ない電力で暑さを和らげる新たな対策を提案している。
猛暑時代に登場した、ウェアラブルクーラー
米国では、独立記念日(7月4日)前後にかけてヒートドームの影響で広範囲が危険な暑さに見舞われ、米国民の約半数にも及ぶ1億6000万人もの人々が熱中症のリスクにさらされているとの警告が出された。一部の地域では、湿度も踏まえた体感温度が40〜46℃に達したと報じられている。一方、欧州でも6月下旬から記録的な熱波が続き、各地で健康被害やインフラへの影響が広がっている。
こうした状況の中、空間全体を冷やすのではなく個々の身体を直接冷やす日本発の「ウェアラブルクーラー」が、世界の熱中症対策の一環として海外でも注目を浴びている。
ウェアラブルクーラーシリーズを展開しているのは、ソニーグループ傘下のソニーサーモテクノロジー。今年4月に発売した最新モデル「REON POCKET PRO Plus」は、首元に装着し、本体接触部で体表面を直接冷やすウェアラブルデバイスだ。風を送るのではなく、肌に触れるプレートを通じて身体を冷やす仕組みで、ソニーによると、冷却性能は従来モデルから最大約20%向上し、搭載したセンサーが周囲の環境に応じて温度を自動調整するという。

競争が激化する市場と、製品の課題
ソニーによると、「REON POCKET PRO Plus」は従来モデルと比べて冷却性能が最大約20%向上し、冷却レベルを抑えた設定では最大約15時間の連続使用が可能だという。一方、米経済誌『Forbes』による実機レビューでは、高い冷却レベルで使用した場合、バッテリー駆動時間は約10時間だった。また、この種のウェアラブル冷却機器が熱中症のリスクを実際に低減することを示す査読付き研究は限られており、ソニーも本製品について、熱中症対策を目的としたものではないとしている。
同社が参入する個人向け冷却機器市場は、すでに大きな規模へと成長している。市場調査会社によって推計には幅があるものの、市場規模は年間数十億ドルに上るとされ、なかでも身体に装着して使うウェアラブル機器が最も高い成長率を示している。
競合には、英国のダイソンが展開する小型ファンや、富士通ゼネラルグループのウェアラブル型冷却機器のほか、首掛け扇風機やクールネックリングなど、さまざまな製品がある。その中でソニーの特徴は、本体接触部で体表面を直接冷やす仕組みに加え、専用アプリで設定を変更できること、さらに襟付きシャツの下にも目立たず装着できるデザインにある。

こうした製品が注目される背景には、省エネルギーという利点もある。部屋全体を冷やすよりも、人の身体を直接冷やすほうが必要なエネルギーははるかに少なく、空調需要の増加によって電力網への負荷が高まる中、その重要性は一段と高まっている。
一方で、課題も少なくない。英国では約199ポンド、欧州では229ユーロと価格は決して安くなく、冷却できるのは体表の限られた範囲にとどまる。そのため、通勤者やオフィスワーカーには有効でも、熱中症のリスクが高い暑熱環境で働く人々への効果は限定的だ。また、電力網への負荷や猛暑にさらされる都市といった、暑さを巡る根本的な課題を解決するものでもない。
しかしながら、このガジットが欧米市場などでも静かな注目を浴び、海外メディアでも取り上げられ始めているのは確かだ。特に伝統的に夏が涼しく、日本や米国ほどエアコンが普及していない欧州においては、この手の製品に対する人々の期待値が高い様だ。
トップ写真:ソニーサーモテクノロジー株式会社
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