J-STORIES ー 女性の生理という問題に女性だけでなく社会全体が向き合えば、そこから新しい変革が生まれるー。そうした企業理念のもと、女性の活躍を助ける吸水ショーツの革新に取り組んできた企業から、経血量を測定できる新製品の構想が発表された。世界で初めての技術で、来年の実用化を目指し10月後半にはイベントでデモ版を披露する予定だ。
この吸水ショーツは、フェムテック(Female・女性+Technology・技術)企業として2020年6月、クラウドファンディングで1億円以上の支援金を集めて創業したBé-A Japan(東京都渋谷区)がウェアラブルデバイスを手掛けるミツフジ(京都府精華町)と共同開発した。
ショーツには導電性繊維を使用、ナプキン部分で吸収した経血量のデータを超小型の発信器で使用者のスマートフォンに送信し、クラウドで管理。スマホからデータや分析結果を閲覧することができる。経血量を測定することで生理の不調が把握でき、内膜症や子宮筋腫などの病気の予防にもつながる。
ミツフジとBe-A Japanは、新技術の実用化に向けた実験を来年開始する予定で、東日本大震災時に避難者の生理用品の必要性が問題化し、生理へのリテラシーが高まった福島県川俣町と3者協定を結んだ。
米国やイスラエルなど海外ではタンポンを使った経血量測定技術が開発されているが、吸水ショーツでの計測技術はこれまで世界に開発例がないという。
ダイバーシティー(多様性の尊重)やジェンダー平等の推進が叫ばれる中、生理はいまだに女性特有の問題という意識が社会には根強い。新製品の開発には「世界人口の半分以上、38億人いる女性が誰も自分の経血量を知らずに、お互いに何が普通なのかもわからずに生きている」という異常な状況を改善したいという思いが背景にある。
Bé-A Japanの代表を務める髙橋くみさんは、生理の問題などについて根本的な社会の意識やあり方を改善しなければ本当のジェンダー平等は実現できないとし、「生理というトピックで社会を変えていけたらいい」とJ-Storiesの取材に答えた。
Bé-A Japanではこれまで手掛けてきた吸水ショーツの開発にも力を入れている。吸水量はもちろん、漏れにくさやにおい対策など機能性をさらに高めるため、実際の購入者や日本航空子会社のジップエア、保育士や医療従事者などの約7000人の声をヒアリングし、開発に役立てている。
同社では吸水ショーツの開発・販売だけでなく、生理への理解を広めるために新宿伊勢丹や大阪の梅田阪急など大型商業施設や、男女の高校生向けの生理セミナーを開くなど、さまざまな活動を行なっている。
経血量を測定できる新しい吸水ショーツについては、10月20日〜22日に東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催されるFemtech Tokyoでデモを行う予定だ。
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗
トップ写真:matskevichtanya / Envato
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