ロンドン, 2026年6月9日 /PRNewswire/ — Institute for Economics & Peace(IEP)が本日発表した2026年世界平和度指数(GPI)は、相互の結び付きが強まり、解決が困難になっている過去最多の紛争がもたらす経済的影響に、世界が苦慮している状況を明らかにしています。この悪化を引き起こしているのは、「大分断(Great Fragmentation)」として知られる、中堅国の影響力拡大と従来の欧州列強の弱体化を特徴とする地政学上の大変動です。さらに、戦争における急速な技術革命も同時に進んでおり、国際法と外交は大きく後れを取っています。

歴史上初めて、機械が、人間による検証が追い付かないほどの速さで、生死に関わる戦闘上の判断を下しており、これを統制するための国際的枠組みはほとんど存在しません。

主な結果

  • 過去1年間に99カ国で平和度が悪化し、20年前の指数開始以来、最多となりました。
  • 119か国(73%)で、GPIが初めて発表された2007年当時よりも平和度が低下しています。
  • 対外紛争に関与する国の数は、2008年の59か国から2026年版GPIの103か国へと、ほぼ倍増しました。
  • 暴力による世界経済への影響は、2025年に3.2%増加して21兆8,100億米ドルとなり、世界GDPの10.5%に相当します。
  • ドローン攻撃は2018年から2025年の間に11,500%超増加し、AIによって標的選定に要する時間は1日から数秒に短縮されました。
  • 世界の紛争による死者数は歴史的高水準が続いており、2025年には18万1,000人を超え、2008年の6倍となりました。
  • 欧州が牽引し、世界の軍事支出は2025年に過去最高の2兆9,000億米ドルに達しました。米国を除く軍事支出は9.2%増加しました。
  • イランでの戦争再開を防ぐ外交が成功すれば、世界経済に約2兆2,000億米ドルの価値をもたらします。

世界の平和度は12年連続で悪化し、現在進行中の国家主体の紛争は61件に達しました。これは第二次世界大戦終結以降で最多です。長期的な低下の背景には、国内紛争による死者数が2007年の2万9,000人から2025年には18万1,000人超へと6倍に増加したことがあります。一方、紛争による死者数が1,000人以上となった国の数も、20年前のGPI開始以来、最多となっています。

この激化は、「大分断」と呼ばれる国際システムのより広範な構造変化の中で生じています。衰退する従来の大国が残した空白を台頭する中堅国が埋める中、平和に関する世界のルールは分断されつつあります。この変化は、過去30年間に欧州列強の経済的影響力が急激に低下したことからも明らかです。1995年以降、世界GDPに占める割合は、ドイツで49%、フランスで44%、イタリアで42%低下しました。多国間機関が弱体化し、大国間の合意が揺らぐ中、戦争終結に向けて従来用いられてきた仕組みは、機能しなくなりつつあります。和平合意で終結する紛争の割合は、1970年代の23%から過去10年間のわずか4%へと急落しました。一方、積極的な平和構築への世界の投資額は、軍事支出総額のわずか0.52%にとどまっています。

人工知能と新たな戦争手段

ドローンは現代戦を特徴付ける兵器となり、記録された攻撃件数は2018年から2025年の間に11,500%増加しました。この拡散は国家主体にとどまらず、この期間には犯罪カルテルを含む565の異なる武装集団がドローン攻撃を行いました。

ガザでは、アルゴリズムによる標的選定により、AIが生成した標的を人間が検証する時間は、1回の攻撃につき約20秒に短縮されたと報告されています。ウクライナでは、オペレーターが関与することなく標的と交戦する自律システムが配備されています。このことは、生死に関わる意思決定において、人間による実質的な監督が損なわれることへの深刻な懸念を引き起こしています。

世界の主な動向

こうした世界的な圧力の中でも、アイスランドは19年連続で世界で最も平和な国の地位を維持しており、ニュージーランド、スイス、スロベニア、アイルランドが続きます。ロシアは初めて世界で最も平和度の低い国となり、スーダン、コンゴ民主共和国、ウクライナ、イスラエルが続きました。南アジアは、ネパールとパキスタンの平和度低下を受け、2026年版指数で地域別では最大の悪化を記録しました。一方、政情不安と暴力的なデモの急増により、米国の平和度は4%低下し、指数開始以来最低となる134位まで順位を落としました。

世界全体で暴力が経済に及ぼす影響は3.2%増加し、過去最高の21兆8,100億米ドルとなりました。これは世界GDPの10.5%に相当します。経済的影響の格差は顕著です。暴力の影響を最も受けた10カ国では、その影響はGDP比で平均23.4%に達したのに対し、影響が最も小さい10カ国ではわずか2.2%でした。

IEPの創設者兼執行会長であるSteve Killeleaは、次のように述べています。

「『大分断』が激化する中、平和を支える制度は地政学と技術の急速な変化に追い付けず、各国政府は対応に苦慮しています。紛争クラスターは国際化・大規模化が進み、解決が極めて困難になっています。中でも最も重大なのは、南アジアからイランと中東を経てアフリカの角にまで広がる不安定の弧です。」

「AIと自律型ドローン技術は、人間による監督が数秒にまで短縮された状態で、生死に関わる判断を下しています。同時に、民間人の死傷者が急増する中、統治体制は現実の事態に追い付いていません。人道上の影響は重大です。」

紛争の増加と拡大

国際化した国内紛争は、2010年以降175%増加しました。この新たな戦争の時代は、複数の紛争システムが重なり合うことを特徴としています。局地的な戦争はもはや孤立したものではなく、政治的、経済的、軍事的要因や難民流出を通じて、より広範な地域の不安定化を助長しています。

こうした動きは、自ら資金源を確保する違法経済によって、ますます助長されています。紛争の影響を受けた主要5カ国における違法薬物経済の生産額は、2015年から2024年の間に4倍超に増加し、140億米ドルから590億米ドルとなりました。

スーダンの内戦は世界で最も深刻な人道危機で、推定15万人が死亡し、1,200万人以上が避難を余儀なくされ、複数地域で飢饉が確認されています。同国は、スーダン、エチオピア、エリトリア、南スーダン、ソマリアの紛争が難民流出、代理勢力への支援、違法取引によって相互に結び付いていることから、紛争クラスターがどのように機能するかを示す典型例となっています。スーダンでの戦争は、金を通じて一部の資金を自ら賄っています。Rapid Support Forcesは、2024年だけで推定10トンの金を生産し、その価値は約8億6,000万米ドルに上ります。金価格が歴史的高値に上昇する中、鉱山支配による経済的インセンティブは急激に高まっています。そのため、外部の国家による支援を撤回しても、戦闘が止まる可能性は低いとみられます。

イランでの戦争と経済的影響

イランでの戦争は、地政学上の極めて大きな増幅要因として作用し、既存の紛争拡大経路を強め、不安定化を広げています。この紛争は、当面のマクロ経済ショックにとどまらず、イラクのイラン支援民兵組織から、パキスタン・イラン国境を越えて攻撃を行うバロチスタン分離主義グループに至るまで、既存の代理勢力ネットワークや国境を越えた反乱を煽り、近隣諸国をより大規模な地域紛争に巻き込む恐れがあります。

経済面でも、その影響は大きく、不均等に現れる見込みです。初年度の世界GDPの損失は0.6%と推定されていますが、最も深刻な影響を受けるのは、脆弱で輸入依存度の高い少数の国々です。世界の食料生産に危機が迫っており、サプライチェーンの混乱が南アジアと東アフリカ全域の将来の収穫量に影響を及ぼしています。収穫不足と食料インフレによる深刻な影響は、2026年後半から2027年に顕在化する見込みです。

パキスタン、エジプト、ケニアなどの極めて脆弱な国々は、貿易ルートの混乱とIMFプログラムの厳格な審査が続く中、2026年後半に合計51億米ドルの債務借り換えに直面します。長期化する膠着状態と戦争再開との差は明白です。戦争再開を防ぐ外交が成功すれば、世界経済に約2兆2,000億米ドルの価値をもたらします。

地域別の主な動向

欧州は引き続き最も平和な地域であり、世界で最も平和な10カ国のうち7カ国が位置しています。しかし、非軍事化という長期的傾向は、2022年以降急激に反転しています。中東・北アフリカは引き続き最も平和度の低い地域であり、下位10カ国のうち4カ国が含まれます。

南アジアは地域別で平和度が最も悪化しており、ネパールは世界最大となる26ランクの下落、パキスタンは152位への下落となりました。  

北米・中米の平和度は、米国の平和度低下を受けて悪化しました。

編集者向け注記

GPI 2026のレポート全文およびインタラクティブマップは、以下でご覧いただけます。visionofhumanity.orgおよびeconomicsandpeace.org

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Facebook:facebook.com/globalpeaceindex

世界平和度指数(GPI)について

GPIは、国際的シンクタンクであるInstitute for Economics & Peaceが作成しており、過去20年間にわたり毎年発表されています。GPIは、世界人口の99.7%を占める163の独立国・地域を順位付けした、世界の平和動向に関する最も包括的な情報源です。GPIは、複数の指標を用いて、「社会の安全と安心」、「進行中の国内・国際紛争」、「軍事化の度合い」の観点から平和の状態を測定しています。 

Institute for Economics & Peace(IEP)について

Institute for Economics & Peace(IEP)は、平和を分析し、その経済的価値を定量化するための指標開発に取り組む世界有数のシンクタンクです。IEPは、毎年発表される世界平和度指数(GPI)をはじめとする世界および各国の指数を開発し、暴力による経済的コストを算出するとともに、積極的平和(Positive Peace)、すなわち平和な社会を生み出し、維持する態度、制度、構造を理解することで、こうした取り組みを進めています。 

ロゴ – https://mma.prnasia.com/media2/2538078/IEP_Logo.jpg?p=medium600

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