加速する「空飛ぶクルマ」開発競争

日本は大阪万博でタクシーサービスも

11月 2, 2022
by Ayaka sagasaki
加速する「空飛ぶクルマ」開発競争
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J-STORIES ー 次世代のモビリティ(移動手段)市場を視野に世界で技術革新が進む中、「空飛ぶクルマ」の開発が新たな競争のフロンティアになっている。各社が特に力を入れているのは、環境にやさしく、コスト的な利点も期待されている電動垂直離着陸機(eVTOL、 electric vertical takeoff and landing aircraft)の普及だ。日本では2025年開催の大阪万博でのエアタクシーサービス実現に向けて、着々と準備が整いつつある。 
eVTOL(イーブイトール)は、飛行機よりも低空を飛び、二酸化炭素(CO2)を排出しない新しい移動手段となる。ヘリコプターなどよりも運用コストを低くできる可能性もあり、大規模災害時の緊急輸送手段としても期待されている。
トヨタ自動車が出資する機体開発ベンチャーのジョビー・アビエーション(米国)は、今年5月、米連邦航空局(FAA)からエアタクシーサービスに必要な認証を取得、2024年のサービス開始を目標にする。10月には、日本での運行に必要となる「型式証明」を海外メーカーとして初めて国土交通省に申請した。
国内の自動車メーカーとしては、ホンダが自社で機体開発を行っている。また、東大発ベンチャーとしてスタートしたテトラアビエーション(東京都文京区)は個人顧客向けに機体を開発、21年から米国で1人乗りモデルの販売予約を開始している。
1人乗りeVTOLの公開デモフライトの様子。     スカイドライブ 提供
1人乗りeVTOLの公開デモフライトの様子。     スカイドライブ 提供
2025年の大阪万博では、エアタクシーの運用が大きな見どころになりそうだが、すでに大阪府、大阪市と連携協定を締結しているのが「日常の移動に空を活用する未来」を実現すべく2018年に設立されたスカイドライブ(愛知県豊橋市)だ。
スズキと技術提携している同社は、2020年に1人乗り試験機での有人飛行に成功。この9月には、2025年ローンチ予定の商用機SD-05のデザインを発表した。SD-05は乗客とドライバーの2人乗りで、最大航続距離約10km、最高巡航速度100km/hを想定している。
大阪万博で運用される予定モデルとしてデザインが公開された商用機、SkyDrive式SD-05型。     スカイドライブ 提供
大阪万博で運用される予定モデルとしてデザインが公開された商用機、SkyDrive式SD-05型。 スカイドライブ 提供
同社は、eVTOL機体開発から得たノウハウを活用して、30kg以上の荷物を運搬できる物流ドローンを2020年に実用化。山間部の作業現場などで運搬手段として利用され、作業効率の上昇、危険回避などに貢献している。
今年9月、同社は総額96億円の資金調達を実施した。その際に発表したニュースリリースの中で、福澤知浩代表取締役は「物流ドローンによる危険で大変な作業のサポート、そして2025年のエアモビリティのサービス開始を通じて、モノや人が自由に空を移動する世界を作っていきたい」とコメントしている。
記事:嵯峨崎文香  編集:北松克朗
トップ写真:Lazy_Bear/Envato
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