(シリーズ)JStoriesでは、東京(東京圏)の今の姿を、多様なフォトグラファーの目で活写したフォトストーリーをシリーズでお届けします。日本に以前からあるものや、2025年の今にしか存在しないものまで、どこか日本らしいユニークさや、イノベーティブなアイデアが感じられるものを、様々なバックグラウンドを持つJStoriesスタッフが街中を歩きながら見つけて撮影しました。こうした日常の姿の中にこそ、世界の問題解決につながる日本発のイノベーションのアイデアが生まれているのかもしれません。

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JStories ー 2025年7月、私は東京ビッグサイトで開催された「第17回 コンテンツ東京」の会場を訪れた。コンテンツ東京は、映像・動画、広告デザインなどから表現・体験ソリューションなどまで最先端の技術や作品が出展されるオーディオビジュアル・インターネットコンテンツ業界の一大イベント。主催者発表によると、2024年には36か国から833社が出展し、46,000人以上の来場者を集めたという。今年もまた、会場は制作会社、テック系スタートアップ、フリーランサーたちの熱気に包まれ、創造的な技術やビジネスソリューションを展示していた。

会場では、最先端のアニメーションやバーチャルリアリティ技術から、革新的な出版ソリューションやデジタルマーケティング戦略まで、多彩な展示があふれていた。そして、コンテンツ制作と配信の急速な進展と変化する状況が紹介され、エンターテインメントやコミュニケーションの未来を形作る新しいトレンドを知ることができた。

ライセンスキャラクターの展示が目を引くのは、日本市場ならではのアプローチを反映している。日本では、製品やサービスが人気の高いキャラクターと関連づけられていることが多い。サンリオ、バンダイナムコホールディングス、タカラトミーなどの企業は、魅力的なぬいぐるみや玩具、ノベルティ商品を多数展示していた。
このようなキャラクター主導の販売促進戦略は、日本がいかに消費者とブランドの間に感情的なつながりを生み出す技術を習得しているかを示している。

AIツールがクリエイティブ業界に与える影響
アプリで気軽にAI(人工知能)技術を使えるサービスが紹介されていたが、クリエイターはその無限の可能性に圧倒されるかもしれない。
例えば、広告生成AIプロジェクト「JITSUZAI」は、実在のモデル500人以上から同意を得て彼らの写真や短いビデオを素材として提供しており、それらを使ってAI技術によって自分なりのコンテンツを作ることができる。クリエイターはモデル素材というプロフェッショナルなコンテンツに手軽にアクセスでき、これまでのような手間を省くことができる。一方で、「CINEMATICA」は、プロジェクト計画からストーリーボード作成に至るまで、制作プロセス全体をサポートするAI技術を提供し、作業の流れを効率化する手助けをしている。

AI技術によるコンテンツ生成サービス、例えばCGI(コンピュータグラフィックス画像)や動画を生成するサービスは、ユーザーや企業のニーズに合わせたコンテンツを提供するとうたっているが、そのサービスの質にはなお改善の余地がある。
展示会で紹介されていた完全なAI生成による動画コンテンツは、最新技術の革新性を感じさせるものの、依然としてAIで作られたという視覚的な特徴が残っていた。没入感を損ねることもあり、コンテンツがAI生成であることがすぐにわかる作品だった。しかし、もしかしたら数ヶ月後には、現実と区別のつかないAI生成による動画コンテンツが登場するかもしれない。
この展示会は、コンテンツ制作における日本のAI導入の速さを示していた。とはいえ、私が感じたのは、日本がAI導入に対して開かれており積極的である一方で、専門のAI企業が提供する独自の利点が、個人が自分でAIに指示を出して得られる結果と比較して、まだはっきりしないということだ。
私は、専門的な動画制作ツールにおけるAI機能はさらに大きく強化できる可能性があると感じている。展示会では、この分野における日本の能力を垣間見ることができたが、さらに進化する余地がまだ十分にあると感じた。
個人クリエイターによるコンテンツの展示エリア
会場の4階には、個人のイラストレーターや動画クリエイター、サウンドクリエイターなどが制作したコンテンツが展示され、日本独自のビジュアル文化とアイデンティティが際立っていた。日本は、オリジナルの世界観やキャラクターを生み出すことができる熟練したイラストレーターやビジュアルクリエイターを豊富に有しており、その評判にふさわしい実力を持つ国だ。
この創造的で才能ある人々の存在は、日本が映像による物語表現とキャラクターデザインの分野で世界をリードしているという私の考えを再確認させ、なぜ日本のクリエイティブ業界が世界中の人々に影響を与え続けているのかを示している。


このイベントは、アジア、特に日本におけるデザイン、映像制作、創造的なイノベーションの最新トレンドを発見する貴重な機会となった。
翻訳:Anita De Michele | JStories
編集:藤川華子, 北松克朗 | JStories
トップ動画: Alexandre Cas, Jeremy Touitou | JStories
この記事に関するお問い合わせは、jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。
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