J-STORIES ー 凍らせた食品は、解凍すると味が落ちる。そんな通念が根強い中、気体ではなく液体で食品を凍らせる独自技術を開発した企業が、液体凍結の品質を消費者に訴えようと、冷凍品だけを扱うセレクトショップの展開に乗り出した。
食品の冷凍は気体を使う技術が一般的だが、液体凍結ではパックに入れた食品をマイナス30℃のアルコールに浸け込み、冷凍させる。液体であれば、気体凍結よりも約20倍のスピードで冷凍が可能になり、味の劣化にもつながる冷凍のムラや解凍時にうまみ成分を流出させる「ドリップ」をほぼ生じさせないという。
この技術を1980年代に開発したテクニカン(神奈川県横浜市)の山田義夫会長は、当時の冷凍技術に比べて液体凍結品の解凍結果が良すぎたため、「知ってもらうだけで10年かかった」と同社のYouTubeチャンネルで振り返っている。同社では、解凍してもまるで冬眠から目覚めたように生き返る、という思いを込め、この技術を使った冷凍機を「凍眠」と名付けた。
同社では一般へのPRを狙い、昨年2月5日に冷凍品専門のセレクトショップ1号店を神奈川県横浜市に開いた。さらに、今年2月11日には仙台市の富沢駅前に2号店をオープン。鮮度の良さが問われるにぎり寿司、生しらす、さらには日本酒なども冷凍品として陳列しており、オンラインでの購入も行っている。
冷凍技術の革新は食品ロスを低減する技術として海外でも関心が高い。広報課長の津田谷英樹さんはJ-Storiesの取材に対し「時期を見て海外にも拠点を構えるなどした戦略を検討していきたい」とコメントしている。
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗
トップ写真: chernikovatv/Envato
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