ジャガイモの収穫、AIで大幅アップ

最適な水やりで1.6倍に

4月 4, 2022
By Yui Sawada
ジャガイモの収穫、AIで大幅アップ
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J-STORIES ー 北海道で行われたカルビーポテトのジャガイモ栽培の実証実験に、通信大手ソフトバンクが開発した人工知能(AI)による農業支援システムが導入され、収穫量を最大で1.6倍に増やすことに貢献した。
導入されたのは、ソフトバンクが提供している「e-kakashi」システム。植物科学の知見を入れたAIが環境データなどを分析、畑にかん水(灌水)する最適のタイミングを知らせるなど、農業従事者に最適な栽培方法を提案・支援するソリューションとして開発され、これまでも東北でのコメ作りや九州でのイチゴ栽培などに利用されている。
カルビーポテトのジャガイモ栽培の実証実験に使われたe-kakashi                https://www.softbank.jp/
カルビーポテトのジャガイモ栽培の実証実験に使われたe-kakashi                https://www.softbank.jp/
ソフトバンクの発表によると、今回の結果は、ポテトチップスなどの原料となるジャガイモの調達を担っているカルビーポテトが2021年6月から10月まで北海道地区で行った実証実験で確認された。北海道の一部地域では、最近の気象変動による干ばつなどで収穫量が減少する年があり、カルビーポテトでは、以前からデータを活用した栽培に取り組んでいた。
実験では、ソフトバンクが提供する「e-kakashi」を畑に設置し、雨による降水だけで水分を補う畑とデータを活用して最適なタイミングでかん水作業を行う畑の栽培状況を比較。降水だけの畑よりも最適なタイミングでかん水作業をした畑のほうが、収穫量は最大で1.6倍多いという結果が出た。
試験区」におけるジャガイモの収量が、「慣行区」に比べて最大約1.6倍に増加               https://www.softbank.jp/
試験区」におけるジャガイモの収量が、「慣行区」に比べて最大約1.6倍に増加               https://www.softbank.jp/
畑に設置された「e-kakashi」は土壌体積含水率(土壌に含まれている水分の割合)を常に数値データで把握・分析しており、水分量が一定のレベルを下回ると生産者のスマホなどにアラートを送信、的確なかん水のタイミングを知らせる仕組みだ。
ソフトバンクは通信事業を主軸とする一方、事業を通して「持続的な社会」実現をめざしており、AI技術を活用した「スマート農業」はその重要な柱の一つになっている。
e-kakashiのシステム                YouTube: e-kakashi
e-kakashiのシステム                YouTube: e-kakashi
少子高齢化や人口の都市部流入に伴って、日本の農業は深刻な人材不足などの問題を抱えており、農村部の経済的、社会的な活力を維持する方策として、日本国内でも先端技術を取り入れた「スマート農業」を普及させる多くの取り組みが続いている。
ソフトバンクによると、「e-kakashi」 は全国 37都道府県の約550カ所(2021年9月時点)に設置されているだけでなく、南米コロンビアにおけるコメ栽培の生産性・持続性を高める「スマートライスファーミング(Smart Rice-Farming) プロジェクト」に採用されるなど、海外でも活用する動きがあるという。
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗  
トップ写真:tycoon101/Envato
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