日本発グローバル・イノベーターズ・フォーラム(JGIF)2025開催――世界の社会課題に挑むスタートアップが集結

J-STORIES共催:日本発スタートアップのグローバル発信を支援するピッチイベントがスケールアップして今年も開催

4時間前
By Takanori Isshiki
日本発グローバル・イノベーターズ・フォーラム(JGIF)2025開催――世界の社会課題に挑むスタートアップが集結
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JSTORIES ー 地球規模の社会問題の解決を目指すスタートアップやイノベーターが一堂に会し、日本という枠を超えて世界に情報を発信するグローバルピッチイベント「第2回 Japan Global Innovators’ Forum (JGIF)」が3月13日、都内で開催された。
本フォーラムは、日本初のソリューション特化型メディア「J-STORIES」を運営する株式会社 パシフィック ブリッジ メディア アンド コンサルティングと、スタートアップ支援の伴走者(アクセラレーター)として毎日新聞社などが出資する株式会社 毎日みらい創造ラボが共催するイベントで、昨年3月に初めて開催され、今回は2回目。
今年は規模を拡大し、イベントに登壇したスタートアップは昨年の6社からほぼ倍近い11社に増加。日本国内のみならず、台湾など海外からも注目の企業が登壇し、革新的なアイデアを発表した。
写真提供:JSTORIES (Emi Takahata) (以下同様)
写真提供:JSTORIES (Emi Takahata) (以下同様)
本イベントでは、持続可能で誰も置き去りにしない「インクルーシブ(包摂的)イノベーション」をテーマにしており、日本発ならではの革新的な発想や技術を生かして世界共通の社会問題解決に挑むスタートアップがそれぞれの商品や技術をアピールした。やりとりは全て英語で行われた。
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今回のピッチカテゴリーは前回からよりイノベーションを意識した「ライフサイエンス」、「サステナビリティとモビリティ」といったカテゴリーにアップデートされ、さらに「地方からの挑戦」と題して、地方発で世界にアピールする小さなスタートアップにフォーカスを当てた新たなカテゴリーも追加された。

個別化医療と健康テクノロジーが牽引するライフサイエンス

「ライフサイエンス」カテゴリーでは、日本の高齢化社会を反映し、個別化がん治療やAIを活用した健康管理が議論の中心となった。
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まず最初に登壇したのは、台湾のバイオテクノロジー・スタートアップ「CancerFree Biotech」。同社は、患者の血液から細胞の3D「アバター」を作成し、リアルタイムで腫瘍細胞の活動を解析する革新的な技術を開発。この最先端のリキッドバイオプシー技術により、がん細胞の特性を詳細に把握し、個々の患者に最適な治療法を提供することが可能となる。
同社を率いるのは、創業者兼CEOのポー・チェン氏。CancerFree Biotechは、昨年、日本国内の主要スタートアップイベントで数々の賞を受賞し、現在は日本市場への本格的な進出を進めている。チェン氏は「より多くの患者に最適な治療を提供し、がん治療の新たな可能性を切り開きたい」と意気込む。
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続いて登壇したHubbitは、東京を拠点とするヘルステック企業「Hubbit」は、認知症患者が家族や介護者とより深くつながるための新しいアプローチを提供するスタートアップ。シンプルながらも強力なこのツールは、日々のケアにおいて大きな変化をもたらす可能性を秘めている。
このプロジェクトを率いるHubbitの創業者である臼井 貴紀氏は、同社の開発した技術が、認知症ケアの質を向上させると力説した。
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最後に登壇した福岡を拠点とする「Wellness Expert」は、「美」をテーマにした取り組みを通じて高齢者の自立と活力を促進する「健康寿命延伸プロジェクト」を推進している。代表取締役社長 内野仁美氏は、地域社会と連携しながら、高齢者が生き生きとした生活を送るための新たな支援の形を模索していると語った。

物流、金融、航空宇宙分野での技術革新

「サステナビリティとモビリティ」のカテゴリーでは、物流の最適化、金融のデジタル化、ドローンの革新技術が披露された。
「Logistical」は、単なる物流企業ではない。航空業界の「コードシェア便」のように、複数の事業者が協力して効率的に輸送を行う仕組みを構築し、コスト削減と環境負荷の軽減を目指している。
この革新的なプロジェクトを牽引するのは、ウズベキスタン出身で渋谷区のスタートアップ支援オフィスを拠点に活動する、LogisticalのCEO、シャフボズ・ハイリロエフ氏。従来の輸送システムに依存せず、AIを活用した「共同配送」モデルで、日本全国の物流を効率化しようという取り組みについて熱く語った。
京都のスタートアップ「Valuufy」は、同志社大学とバリュー・リサーチ・センターの10年にわたる研究を基に2023年に設立された。持続可能性の測定と活用を支援する「ValuuCompass」を開発し、企業が環境・社会貢献活動の価値を最大化できるようサポートしている。
このプロジェクトを主導するのは、ドイツ出身の共同創業者マルコ・コーダー氏。マルコ氏はバリュー創出、サステナビリティ、ESGの専門家チームと共に、企業の成長と持続可能性を両立させる方法について説明した。
静岡県浜松市の「Arase Aizawa Aerospatiale」は、エンジン搭載型ドローンを開発。長距離飛行が可能で、防災や災害復旧などの重作業に対応できる高性能ドローンとして期待を集めている。
同社は、スズキの元エンジニアでバイクエンジン開発に携わっていた技術者が共同創業した。自然災害が多発する日本において、より実用的なドローン技術を確立し、防災・インフラ分野に革新をもたらすことを目指している。
ピッチイベントには、日本や台湾を拠点とする著名なベンチャーキャピタリスト(VC) 3名も審査員として参加した。日本のトップVC(Shizen Capital)の一つを率いる投資家であり、クラウド翻訳サービスGengoの共同創業者としても知られるマシュー・ローマイン氏、日本のエネルギー関連VC(JERA Ventures)を代表し、「Disrupting Japan」のポッドキャスターとして10年以上日本のスタートアップ情報を発信、元Google Japanのスタートアップ責任者でもあるティム・ロメロ氏、台湾のテック系VC(Darwin Ventures)の代表で、日産の元エンジニア、BCG出身という異色の経歴を持つ今野和明氏である。3人は、登壇したスタートアップに対して、海外での実用性や、海外で展開するために必要なことについての意見やアドバイスを行った。
イベントの最後には、もう一つの主催団体である毎日みらい創造ラボの高塚保代表が、「どのスタートアップのピッチも素晴らしく、非常に刺激的でした。今年で2回目を迎えましたが、今後もこのイベントをさらに発展させていきたいと考えています。」と話し次回2026年に開催予定の次回イベントの開催に期待を示した。
記事:一色崇典 
編集:北松克朗
トップ動画:JSTORIES (Emi Takahata)
この記事に関するお問い合わせは、jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

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