J-STORIES ー 地球規模の社会問題の解決を目指すスタートアップやイノベーターは、日本にも多く存在する。そのような熱意と技術を持った日本の起業家チームが、日本という枠を超えて世界の舞台で活躍するにはどうしたら良いのか?
その実現を支援する一つの方策として、世界を志すスタートアップを応援する日本発のグローバルピッチイベント「第1回 Japan Global Innovators’ Forum (JGIF)」が3月15日、都内で初開催された。参加スタートアップの海外での成長ポテンシャルを見極めるため、ドイツやスペイン、オランダなどの欧州諸国からもコメンテーターがオンラインで参加。投資家、メディア、国際NGOなどそれぞれの視点から、日本のスタートアップの提供する社会問題の解決策に対する海外での潜在的な需要について、意見を交わした。
日本のスタートアップの海外への情報発信に力を入れる東京都も全面的にイベントを支援。東京都が今年、有楽町駅前に正式にオープンした「Tokyo Innovation Base (TiB)」の会場に集まったリアル参加者に加えて、イベントはオンラインで世界中に配信され、合わせて200名近くの参加者が国内外から日本のスタートアップと海外コメンテーターとの間の対話を見守った。
イベントは英語で行われ、参加者には通訳による日本語音声オプションが提供された。本イベントを共催した日本初のソリューション特化型メディア「J-STORIES」を運営するパシフィック ブリッジ メディア アンド コンサルティング(PBMC) と、スタートアップ支援のアクセラレーター「毎日みらい創造ラボ」が、登壇者の英語のプレゼンテーション資料制作を支援するなど、日本人の起業家がスムーズに海外にピッチできる環境を事前に整えた。
初開催となった今回のイベントは日本発のポテンシャルを強く生かした持続可能で誰も置き去りにしない「インクルーシブ(包摂的)イノベーション」をテーマに、世界共通の社会問題解決に挑む日本のスタートアップ6社が世界に向けてそれぞれの商品や技術をアピールするというもの。
今回のピッチカテゴリーは「災害支援」、「高齢者支援」、「クリーンエネルギー」といういずれも世界共通で抱える問題である3つの分野が選ばれた。
「災害支援」では、外壁に塗るだけで耐震性を強化するコーティング材を開発したAsterと、寒冷地においても空気中の水分を飲料水に変える製品を開発したAi Heart Japanが登壇。
「高齢者支援」分野では、転んだ時だけショックを吸収し、転倒骨折を予防する床材を開発したMagic Shieldsと、加齢や事故、病気などによって歩行が難しくなってしまった人のための歩行トレーニングロボットを開発するAssist Motionが登壇。
イベントには、海外のベンチャーキャピタルや国境なき医師団でイノベーション マネージャーを行うヨハン・マルテン氏などのイノベーション専門家も登壇者として参加し、登壇したスタートアップに対して、海外での実用性や、海外で展開するために必要なことについての意見や、アドバイスを行った。
イベントに先立ち主催者の1人である前田 利継 J-STORIES 編集長は、イベント開催の理由の一つとして、世界の社会問題を解決できる多くのスタートアップが日本には存在していながら、海外への情報発信の機会を十分に得られていないことが念頭にあったと語る。
「日本のスタートアップは、国際的に活躍できるポテンシャルを持っていながら、国内での資金調達や事業展開だけに集中する傾向がみられます。これは、そうしたスタートアップが、海外への情報発信の機会を十分に得られていないからではないか?国内で行われる多くのピッチイベントが、海外への情報発信の役割を十分に果たせていないのではないか?そのような問題意識から、今回のピッチイベントの開催に至りました。」(前田利継・J-STORIES 編集長)
また、イベントのもう一つの主催団体である毎日みらい創造ラボは、スタートアップ支援の伴走者(アクセラレーター)として、スタートアップへの出資などを行っていく中で、日本の各地域で社会課題の解決にビジネスを通じて取り組み、急成長のみを追い求めるのではなく持続可能な地域社会をつくるために活動する『ゼブラ企業』に注目し、支援してきた。
「本イベントのテーマ『インクルーシブ(包摂的)イノベーション』は、世界をより持続可能で、誰も置き去りにしないにしないという発想から生まれたもので、私たちが支援してきたゼブラ企業とも相通じる考えだと考えます」(毎日みらい創造ラボ 高塚保 代表)
記事:一色崇典 編集:前田利継
撮影:デシデリオ・ルナ(Desiderio Luna)
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