世界初、宇宙から道路の陥没リスクをキャッチ

衛星からレーダーで検知、人手をかけず社会の安全を守る

3時間前
by AYAKA SAGASAKI
世界初、宇宙から道路の陥没リスクをキャッチ
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JStories — 2025年に埼玉県八潮市で発生した大規模な道路陥没は、破損した下水道管からの悪臭や硫化水素の発生など、周辺住民の生活にも大きな影響を及ぼし、老朽化した社会インフラの危険性を改めて浮き彫りにした。国土交通省によると、2023ー24年に全国で確認された道路陥没は約2万2000件に達し、深さ1メートル以上の陥没は2年間で約500件に上っている。
写真提供:Envato
写真提供:Envato
しかし、都市の安全性のカギとなる道路の点検はまだ十分とは言い難い。現在は上下水道内部からの目視点検や、路面から電磁波を用いた探査が行われているが、現地作業には多大な人手とコストがかかってるのが実情だ。
こうした状況を背景に、NTTは世界で初めて、SAR衛星(合成開口レーダ衛星)を用いて道路陥没の予兆を捉える手法の実証に成功した。衛星から照射したマイクロ波の反射特性を解析することで、地中で進行している異変を把握することができる。現地に赴くことなく陥没リスクの高い箇所を絞り込めるため、点検工程の大幅な削減とコストの低減、そして安全性の向上が期待されている。
従来の方法と比較して信頼性も高く、低コストで継続的なモニタリングが可能に     写真提供:NTT(以下同様)
従来の方法と比較して信頼性も高く、低コストで継続的なモニタリングが可能に     写真提供:NTT(以下同様)
道路の陥没は、まず地中に空洞が形成され、地盤が乱れ、地表に微細な凹凸が生じるという段階を経て発生する。NTTが取り組んでいる新しい検査手法は、電波の方向や強度の変化を解析して、このような陥没の予兆を計測するという仕組みだ。この手法による検査データを道路下にある空洞を点検したデータと突き合わせた検証の結果、衛星データのみで地下空洞を検出できることが確認された。従来手法と比べて、約85%のコストを削減できる見込みだ。
複数の電波の方向や強度を解析することで地中の状態を把握することができる
複数の電波の方向や強度を解析することで地中の状態を把握することができる
NTTはすでに道路の敷設された光ファイバーを用いて地盤をモニタリングする技術についても発表している。光ファイバーによる方法は地下深部の空洞検知に強みを持ち、一方で衛星よる方法は地表に近い浅目の空洞、つまり緊急度の高い異常の把握に適している。特性の異なる技術を相互補完的に活用することで、より確実な予兆検知を目指す。
地下管路に敷設された光ファイバーを活用して常時微動を測定して地中の空洞を高頻度で遠隔モニタリングできる
地下管路に敷設された光ファイバーを活用して常時微動を測定して地中の空洞を高頻度で遠隔モニタリングできる
道路陥没は短期間で進行するケースも多いため、数年ごとの点検では見逃しのリスクがある。定期的に周回する衛星を活用することで、高頻度の継続モニタリングが可能となり、重大な空洞の早期発見につながる。
写真提供:Envato
写真提供:Envato
NTTは今後、自治体と連携した実証実験を通じて信頼性を高め、社会インフラの安全確保に貢献していく考えだ。
記事:嵯峨崎文香 | JStories
編集:北松克朗 | JStories
トップ写真: Envato 提供
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