漂着海藻からアルギン酸生産

資源循環ビジネスを実現

2月 17, 2022
By Yui Sawada
漂着海藻からアルギン酸生産
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J-STORIES ー 海岸で朽ち果てるしかなかった漂着海藻から幅広い用途を持つ食物繊維「アルギン酸」を生成する─。こんな独自の取り組みで、長年にわたり資源循環型ビジネスを続けている日本企業がある。
「アルギン酸」は昆布やわかめなどの海藻のぬめりの主成分で、パンや麺の食感を良くしたり、きめ細やかな泡立ちのビールや落ちにくい口紅などを実現するなど、食品から医療などまで様々な分野で利用されている。海中に生えている海藻ではなく、漂着海藻を原料にすれば、資源を有効活用できるとともに、投機的な海藻の乱獲を抑制するなど海の環境保全効果も期待できる。
昆布やわかめなどの海藻
昆布やわかめなどの海藻
アルギン酸               YouTube: KIMICA Corporation
アルギン酸               YouTube: KIMICA Corporation
80年の歴史を持つアルギン酸専門メーカー「キミカ」(東京・中央区)がこうした取り組みを始めたのは、海岸に打ち上げられた海藻を見た創業者の「もったいない」という思いがきっかけだったという。
海岸に散らばる漂着海藻              YouTube: KIMICA Corporation
海岸に散らばる漂着海藻              YouTube: KIMICA Corporation
同社は、南米チリを中心に漂着海藻を原料にした高品質のアルギン酸生産を展開。現地の海藻調達会社に資本参加し、漁民から漂着海藻を買い取ることで、彼らの収入の安定化に寄与すると同時に、アルギン酸を抽出した後は残渣(ざんさ)を近隣の農家に肥料として無償で提供するなど、地域の支援も進めている。
漂着海藻を集めるチリの漁民たち               YouTube: KIMICA Corporation
漂着海藻を集めるチリの漁民たち               YouTube: KIMICA Corporation
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗 
トップ写真:twenty20photos/Envato
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