J-STORIES ー 中国の首都北京にて8月、世界ロボット会議2023が開催され、中国内の主要ロボットメーカーがそれぞれの最新ロボットを公開した。主催者(北京市、工業情報化部、中国科学技術協会の共催)によれば、7日間にわたるイベントは、史上最大規模だという。
安価な労働力を武器に世界の工場として発展した中国では、近年人件費の高騰などを受けて、ロボットの導入を中心とした工場の自動化・省人化が進められている。産業用ロボットの年間設置台数は2013年に日本を抜いて世界最多になって以来、トップを独走している。
また中国では世界を独占する産業用ロボットだけではなく、市場の約3分の1を占めるサービス用ロボットも好調で、市場の成長をけん引しているのはサービスロボットだと言われている。サービス用ロボットとは、警備や受付、掃除や運搬など主に人が行う作業を代行するロボットのことで、市場が2017年から2019年の2年間で70%拡大している。
今回の展示会では、そのようなサービスロボットの分野を中心に、人間そっくりな外見を持つヒューマノイドロボットも多数展示され、進化を続ける「ロボット大国」中国の力をアピールした形だ。
中国の工業・情報化部は今年11月に、2025年までにはヒューマノイドロボットの量産化を行うという「指導意見」を発表しており、国をあげて家事や、介護、流通分野など様々な場所でロボットの導入が見込まれている。
EXロボット
EXロボット:表情が変化し、手足がリアルに動くインテリジェント・ヒューマノイドやリアルな生体ロボットを専門とする大連のロボット企業。本物の人間の動きや表情をコピーできるロボットを作っており、学校教育や保育など様々な応用が考えられる技術だという。
ユニツリー・ロボティクス
ユニツリー・ロボティクス:人型ロボットと犬型ロボットを製造している。同社のヒューマノイドロボットは、実際の人間に近い身長と体重を持った二足歩行が可能で、蹴飛ばされても倒れないバランス感覚を持つ。
犬型ロボット(Go2)は、4本足で走行し、宙返りなどダイナミックな動きも可能。130体のロボットによる集団ダンスなどのデモンストレーションも行われている。
DREAME
DREAME: ロボット掃除機で知られる会社だが、注目は人間と同じような身長・体重で、高度な知覚能力を持つヒューマノイドバリスタロボット。見事な腕前でコーヒーを作ることが可能だという。
CloudMinds Technologies
CloudMinds Technologies: 人型サービスロボットと顔認識システムの開発を行なっている。GPTと柔軟な関節センサーを内蔵した人型ロボットを開発し、高齢者の介護や家事に役立つ可能性があるという。また、ロボット用のクラウド型のブレーンの研究にも取り組んでいる。
Fourier Intelligence
Fourier Intelligence: 二足歩行のヒューマノイドロボットを開発している。起伏のある道を歩いたり、早歩きをしたり、障害物を避けたり、と悪路でも倒れないで自立歩行が可能。
シャオミ
シャオミ:既に市場で販売中のサイバードッグの機動性を向上させたアップデート版サイバードッグ2を展示。後方宙返りや、転倒後に自力で起き上がり、秒速1.6メートルで走ることなどが可能になった。さらに、複数のセンサーとカメラで人間の表情をより正確に認識し、より自然な反応ができるようになった。
DEEP Robotics
DEEP Robotics:さまざまな場所や天候に適応したX20防水産業用四脚ロボットを展示。中国内で初めて、工場の完全自律点検を行ったロボットでもある。
DaFang AI
DaFang AI:すでに市場に投入されている壁塗りロボットで、1時間で50平方メートルの表面を処理できる。窓やドアを認識して、不必要なところは塗らない。ロボットの作業効率は人間より6~7倍高い。
MedBot
MedBot:すでに数十の病院で使用されている腹腔鏡手術ロボット。外科医が無菌エリアの外に座って手術を行うことができ、医師のストレスを軽減できる。既に今年100件以上の手術を行った。5Gネットワークに対応しているため、複雑な手術を遠距離で行うことも可能だ。昨年6月には、新疆ウイグル自治区の外科医が5000キロ離れた病院で手術を成功させた。
ULS Robotics
ULS Robotics:重いものを持ち上げるなどといった肉体労働作業員を助ける装着ロボット。作業を全てロボットが代行するのではなく、ロボットが人間の作業をサポートすることで、人の雇用を奪うことなく、作業負担の軽減と安全支援を目指している。
RealMan
Realman:プロのマッサージ師並の技術を獲得した超軽量マッサージロボット。タッチスクリーンで様々なマッサージを選択でき、事前にプログラムしたマッサージを実行してくれる。
Agrirobot
Agrirobot:この農業用ロボットはスピードの点ではまだ人間に劣るが、24時間稼働できる。AIセンサーとカメラで熟した果物だけを収穫するようプログラムされている。
記事:Sho・Ki 編集:一色崇典
トップ写真:PRO ROBOT
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