手押し一輪車が電動に早変わり

山間や被災地での運搬作業を軽減

3月 29, 2022
By Yui Sawada
手押し一輪車が電動に早変わり
この記事をシェアする
J-STORIES ー 農作業や建設現場などでの運搬作業には手押しの一輪車が広く利用されているが、坂道やでこぼこ道が多い「不整地」で使うと体力も消耗しがちだ。一方、従来型の電動一輪車は形状が決まっているため、様々に条件が異なる不整地での作業には導入できないこともある。
レゴブロックのようにパーツを組み合わせ、現場のニーズに合った使いやすい電動一輪車は作れないだろうか。
その解決策として登場したのが、手押しの一輪車にモーターを内蔵したタイヤを取り付け、電動に早変わりさせる方式だ。手押し一輪車の手軽さは維持したまま、パワーのある運搬作業が可能になる。高齢化や人手不足に悩む農作業の負担軽減が期待されている。
電動アシストタイヤキット「E-Cat Kit」 https://cuborex.com/
電動アシストタイヤキット「E-Cat Kit」 https://cuborex.com/
この電動アシストタイヤキット「E-Cat Kit」を開発したのは、ベンチャー企業のCuboRex(東京都葛飾区)。代表取締役の寺嶋瑞仁さんが学生時代の経験から、山間の田畑や建築現場、災害現場などの凹凸が激しい未整備な土地で作業できる機器を作りたい、と思い立ったのがきっかけだ。
学生時代にロボットの開発に打ち込んでいた寺嶋さんは、資金を稼ぐため、出身地である愛媛のミカン農園でアルバイトをしていた。急斜面で足場が悪く、枝が張り出す狭い道を多い時には一度に100kgものミカンを一輪車で運ぶ。半日あたり25〜30往復もの作業が必要だったが、当時販売されていた凡用の電動一輪車ではうまく運べなかった。
同社によると、E-Cat kitを使用することで、そうした不整地での作業労力は半減し、運搬作業時間は66%まで短縮できた。一輪車への電動タイヤの装着は、1時間ほどの作業で可能だという。
運搬作業時間の削減 https://cuborex.com/
運搬作業時間の削減 https://cuborex.com/
同社は2022年1月19日から、愛媛のミカン農家に同製品を無償貸与し、運搬作業での実用化の検証を行う予定だ。また、小笠原諸島の海底火山から出た大量の軽石が引き起こす漁業被害への対策として、同社では昨年10月から同製品を各地の企業や自治体などに無償で貸し出し、軽石の除去作業を支援している。
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗 
トップ写真:halfpoint/Envato
この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

***

この記事に関する動画はこちらです

***

本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。
コメント
この記事にコメントはありません。
投稿する

この記事をシェアする
人気記事
提携プレスリリース
プレスリリース配信・世界最大手広報通信社
ニュースレター
ニュースレター購読にご登録いただいた皆様には、J-Storiesからの最新記事や動画の情報を毎週無料でお届けしています。