"Meet the Toshikas" ー アフリカのトップ・スタートアップが、日本からの投資を切望する理由

アフリカの若手起業家が日本の投資家と共に目指す、野心的な挑戦とは?

9月 6, 2024
BY TOSHIMASA HIJIKURO
&Anita De Michele
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J-STORIES ー 豊かな資源と急成長を続ける若年人口を背景に世界に残された「最後の成長大陸」とも言われるアフリカ。スタートアップ市場についても、デジタル技術を活用した若者世代を中心として、利益と社会課題解決の両立を目指す野心的なスタートアップ企業が次々に登場し、世界中から注目されている一方で、資金調達の枠組みが十分に整っていないなど多くの課題も抱えている。
こうした中、投資を求めるアフリカの野心的な若手起業家と、有望な投資先を求める日本の投資家が一堂に会し、アフリカのスタートアップエコシステムの成長と、日本からの投資促進を促すスタートアップピッチイベントが都内で開催された。
会場では『Meet the Tôshikas』プログラムの紹介が行われた。     J-STORIES 撮影(以下同様)
会場では『Meet the Tôshikas』プログラムの紹介が行われた。     J-STORIES 撮影(以下同様)
“Meet the Toshikas” (「投資家との会合」-アフリカのエコシステムとスタートアップショーケース)と題されたこのイベントは、国際連合開発計画(UNDP)と日本を拠点とする国際的なベンチャーキャピタル「ダブルフェザー・パートナーズ」の共催によるもので、南アフリカ、アンゴラ、ザンビアの3カ国から厳選されたスタートアップ6社が登壇し、自社のサービスを日本の投資家や、企業関係者たちにアピールした。
イベントには、3カ国から合計256社のスタートアップから応募があり、UNDP職員や日本のVCらによる数回の審査を経て、女性の社会進出を助けたり、環境問題の改善を実現させるといった利益の追求と、社会課題解決の両立を目指すスタートアップ6社が選ばれた。
アフリカのスタートアップは特にEコマースやテクノロジーを中心とした企業が多く、今回も登壇スタートアップの6社中3社がEコマースに関わる事業を行うスタートアップである。
主催者の一つである国連開発計画 UNDP駐日代表事務所の ハジアリッチ秀子 駐日代表はアフリカのスタートアップの特徴として、「気候やインフラが整備されていないという理由で、テクノロジーを使う価値が日本よりも高く、デジタル化が進んでいる」と評価する。
「気候やインフラが整備されていないという理由で、テクノロジーを使う価値が日本よりも高く、デジタル化が進んでいる」ー 国連開発計画 UNDP駐日代表事務所の ハジアリッチ秀子 駐日代表
「気候やインフラが整備されていないという理由で、テクノロジーを使う価値が日本よりも高く、デジタル化が進んでいる」ー 国連開発計画 UNDP駐日代表事務所の ハジアリッチ秀子 駐日代表
一方で、日本のアフリカに対するイメージは、「危険」といったネガティブなイメージが根強く残り、「投資先として検討される国が偏っている」現状があり、「そうしたネガティブなイメージを変える為にも、今回のようにビジネスに関わっている人、民間の人と、アフリカのスタートアップの人が一緒になって、成功事例をどんどん発信していくのが大事だ」とはハジアリッチさんは話す。
「日本は経済がとても進んでいて、大企業があり、経験も豊富です。ですから、巨大なビジネスと巨大な経済を築き上げた人たちからアドバイスや意見を得ることは、とても重要だと思います」ー Zoie Health創業者のタト・シェルマーさん
「日本は経済がとても進んでいて、大企業があり、経験も豊富です。ですから、巨大なビジネスと巨大な経済を築き上げた人たちからアドバイスや意見を得ることは、とても重要だと思います」ー Zoie Health創業者のタト・シェルマーさん
一方、登壇企業の一つ、南アフリカで女性向けのオンライン医療相談や、薬の処方サービスを行うスタートアップ Zoie Health の創業者のタト・シェルマー(Thato Schermer)さんは、イベントに参加した理由として、日本からの投資だけではなく、ビジネスを拡大させていく上でのアドバイスも求めていると話す。
「日本は経済がとても進んでいて、大企業があり、経験も豊富です。ですから、巨大なビジネスと巨大な経済を築き上げた人たちからアドバイスや意見を得ることは、とても重要だと思います」(シェルマーさん)
アンゴラで電気モーターバイクによるタクシーサービスを展開する ANDA の共同創業者のセルジオ・タチ(Sergio Tati)さんも日本のVCの助言が資金援助と同等に重要だと話す。
「このプログラムが提供するのは単なる資金援助だけではありません。地域を越えて投資し、私たちのような企業を見てきた投資家の経験は、貴重な助言を与えてくれます。こうした専門知識は、金銭的な投資以上の価値があります」(タチさん)
「このプログラムが提供するのは単なる資金援助だけではありません。地域を越えて投資し、私たちのような企業を見てきた投資家の経験は、貴重な助言を与えてくれます。こうした専門知識は、金銭的な投資以上の価値があります。」ーANDA共同創業者のセルジオ・タチさん
「このプログラムが提供するのは単なる資金援助だけではありません。地域を越えて投資し、私たちのような企業を見てきた投資家の経験は、貴重な助言を与えてくれます。こうした専門知識は、金銭的な投資以上の価値があります。」ーANDA共同創業者のセルジオ・タチさん
一方で、イベントに参加した NEC のコーポレート事業開発部の千原晋平さん は、J-STORIESの取材に対し、「アフリカのスタートアップの知見はまだ浅く、知るため/勉強のために来た。投資をするための情報を十分に把握できていないが、ブルーワーカーの健康問題などアフリカのスタートアップが持つ社会的課題を解決するという視点が印象的だった」と話している。
登壇企業で、仕事を求める学生と企業のマッチアップサービスを行う南アフリカの Jobox の創業者スブシソ・ブーナ(Sbusiso Buna)さんは、今回のピッチだけですぐに投資が得られるわけではないとした上で、収穫が沢山あったと話す。
「日本の企業と話をしてニーズを知ることで、私たちの会社がそれにどのように役立てるかを考えることができました。具体的に言えば、日本の大企業が南アフリカに作ったサテライトオフィスで雇う学生エンジニアを探すことを手伝うことが決まりました。これは私たちにとって素晴らしいことで、トラクションが生まれ、収益が生まれ、スタート地点となります。実績ができれば、他の日本の企業と仕事することも少し楽になります」ー Jobox創業者のスブシソ・ブーナさん
「日本の企業と話をしてニーズを知ることで、私たちの会社がそれにどのように役立てるかを考えることができました。具体的に言えば、日本の大企業が南アフリカに作ったサテライトオフィスで雇う学生エンジニアを探すことを手伝うことが決まりました。これは私たちにとって素晴らしいことで、トラクションが生まれ、収益が生まれ、スタート地点となります。実績ができれば、他の日本の企業と仕事することも少し楽になります」ー Jobox創業者のスブシソ・ブーナさん
「日本の企業と話をしてニーズを知ることで、私たちの会社がそれにどのように役立てるかを考えることができました。具体的に言えば、日本の大企業が南アフリカに作ったサテライトオフィスで雇う学生エンジニアを探すことを手伝うことが決まりました。これは私たちにとって素晴らしいことで、トラクションが生まれ、収益が生まれ、スタート地点となります。実績ができれば、他の日本の企業と仕事することも少し楽になります」(ブーナさん)
ピッチ終了後には、会場では対面参加の参加者同士の交流会が行われた。
ピッチ終了後には、会場では対面参加の参加者同士の交流会が行われた。
会場の交流会で名刺を交換する参加者たち。
会場の交流会で名刺を交換する参加者たち。
主催者によれば、今回は第一回目だったので3カ国に絞られたが、次回以降、参加国を拡大して継続的に開催していきたい考えがあるという。
日本語取材・記事:肱黒勇正 英語取材:アニータ・デミケーレ 
編集:一色崇典
トップ映像・写真:J-STORIES(Adelina Vancea)撮影

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