[PODCAST]外国人創業者が変える日本のスタートアップの形 (Part1)

In partnership with Disrupting JAPAN

4時間前
BY DISRUPTING JAPAN / TIM ROMERO
[PODCAST]外国人創業者が変える日本のスタートアップの形 (Part1)
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JStoriesでは、革新的な取り組みを行う日本のスタートアップを海外に紹介している人気ポッドキャスト番組 [Disrupting JAPAN]とコンテンツ提携を開始し、同番組が配信している興味深いエピソードを日本語で紹介しています。以下にご紹介するのは、AntlerJapanのパートナーであり、スタートアップエコシステムの発展に尽力しているサンディープ・カシさんとのインタビューで、7回に分けて記事をお送りします。
*このインタビューは2025年7月に配信されました。
本編(英語版ポッドキャスト)は、こちらで聴取可能です。
Disrupting JAPAN:Disrupting JAPANは、Google for Startups Japan の代表で東京を拠点に活動するイノベーター、作家、起業家であるティム・ロメロ氏が運営するポッドキャスト番組(英語)。ティム氏が数年後には有名ブランドになるポテンシャルがあると見出したイノベーティブな日本のスタートアップ企業をピックアップして、世界に紹介している
Disrupting JAPAN:Disrupting JAPANは、Google for Startups Japan の代表で東京を拠点に活動するイノベーター、作家、起業家であるティム・ロメロ氏が運営するポッドキャスト番組(英語)。ティム氏が数年後には有名ブランドになるポテンシャルがあると見出したイノベーティブな日本のスタートアップ企業をピックアップして、世界に紹介している
Disrupting Japan の創立者で自ら番組ホストも務めるティム・ロメロ氏
Disrupting Japan の創立者で自ら番組ホストも務めるティム・ロメロ氏

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(イントロダクション)

日本の最前線で活躍する起業家や投資家(VC)たちと本音で語る「Disrupting Japan」、ティム・ロメロです。
過去150年間、日本は西洋から最良のアイデアを取り入れ、それを独自のものとして進化させてきました。スタートアップの世界も例外ではありません。日本のスタートアップ文化は欧米の影響を強く受けていますが、そのエコシステムはトップダウン型、つまりリーダーがどのアイデアを導入するかを決める形ではありません。現在、日本のスタートアップエコシステムは、日本国内で活動する日本人と外国人の起業家たちによるボトムアップの決定によって形作られています。
今回は、起業家であり、世界的なベンチャーキャピタルAntler(本社:シンガポール)の日本法人であるAntler Japanでパートナーを務めるサンディープ・カシさんにお話を伺います。外国人創業者が日本で直面する課題や、彼らがどのように日本の起業家精神をより良い方向に変えているのかについてお聞きします。
ベンチャーキャピタルには「アイデアには誰も投資しない」という格言があります。これは、アイデアは簡単に思いつくもので、単独ではほとんど価値がないということを意味しています。
ある意味でこの格言はまだ真実ですが、完全に正しいわけではないようです。
カシさんにはインタビューの中で、Antlerがどのようにアイデアに投資しているのかを説明してもらいました。Antlerは基本的には企業に投資しますが、もしアイデアを持って彼らのもとに行けば、そのアイデアをスタートアップに進化させるために多くのリソースを提供してくれるのです。
また、外国人起業家が日本で直面している課題や、日本の創業者は英語が話せないという偏見についても話しました。そして、外国人起業家たちがどのように日本の創業者のスタートアップの立ち上げ方を変えているのかについても深く掘り下げてあります。とても興味深い内容ですので、ぜひお楽しみください。

本編

Antler Japanのパートナーであるサンディープ・カシさん     提供:Antler株式会社
Antler Japanのパートナーであるサンディープ・カシさん     提供:Antler株式会社
ティム・ロメロ(インタビューアー、以下ロメロ):さて、今、私はAntler Japanのパートナーであるサンディープ・カシさんと一緒に座っています。お時間をいただき、ありがとうございます。
サンディープ・カシ(以下、カシ):ありがとうございます。今日はお話できることを楽しみにしていました。
ロメロ:実は「また番組に戻ってきていただいた」と言うべきかもしれませんね。8年ほど前に一度お話を伺いましたよね?
カシ:そうですね。かなり前のことですが、約8年前でした。
ロメロ:そのときは、「ビデオグラム(AIを使った動画コンテンツ向けのサービス)」を運営されていましたよね。
カシ: はい、その通りです。

創業者を「ゼロ日目」から支援する

ロメロ:それから8、9年の間に多くのことが変わりましたよね。Antlerは、日本の他のVC(ベンチャーキャピタル)やアクセラレーター(スタートアップや起業家をサポートするプログラムや団体)とはちょっと違ったモデルを持っていると思います。その点について、ぜひ教えてください。
カシ:では、Antlerの背景について簡単にお話しします。Antlerは2018年にシンガポールで設立されました。私たちは単なるVCではなく、スタートアップエコシステムを構築する役割を担っています。エコシステム構築者とはどういう意味かというと、私たちは多くの場合、最初に投資を行い、その投資には非常に高いリスクを取ります。言い換えれば、創業者がまだ事業を始める前、「ゼロ日目」から支援を始めるということです。
私たちがプログラムに招くのは、事業を始めるアイデアはあるものの、どこから始めればよいのか全く分からない方々です。そのような人たちは、多くの場合、共同創業者がいなかったり、既存のチームを持っていなかったりします。私たちはそうした人たちと共に、10週間かけてそのミッションや専門分野をしっかりと見極め、その後の10週間でチームを作り上げていきます。その過程では、試行錯誤を繰り返し、柔軟に方向転換(ピボット)を行いながら進めていきます。

10週間でピッチができる状態に

ロメロ: 参加する創業者は、全員がアイデア段階の方々ですか?すでに会社を持っていて一定の収益がある創業者もいますか?それとも、本当に超初期段階の創業者をターゲットにしているのでしょうか?
カシ: すべてのケースがあります。アイデアしか持っておらず、会社を立ち上げたことがない創業者もいれば、過去に何度か事業を売却した経験がある創業者もいますし、既存のチームがプログラムに参加することもあります。そういったチームは、まだ顧客の反応が得られていない場合です。
どのようなケースでも、基本的には創業者たちにとって、会社を立ち上げるためのゼロ日目からのスタートです。私たちは彼らと一緒に働き、10週間後には投資決定を行う人々に対して、アイデアや製品を売り込むための短いプレゼンテーション(ピッチ)ができる状態にまで持っていきます。多くの場合、会社が法人化されていなくても投資を行い、彼らはその資金を使って会社を法人化するのです。
写真提供:Envato
写真提供:Envato

誰もがCEOを目指すわけではない

ロメロ: 選考の流れはどうなっていますか?プログラムには何人が応募し、どれくらいの人数が選ばれ、ピッチの日に進むのは何人で、最終的に投資を受けるのは何人ですか?
カシ: 世界的には、年間で約160,000件の応募があります。その中から通常、約3%をプログラムの参加者として選びます。そして、その3%の中から、1%から1.5%が最終的に投資を受けることになります。
ロメロ: それは、その3%の中で1.5%ということですか?
カシ: はい、3%の中の1.5%です。どういうことかというと、その3%に入る人たち全員が創業者というわけではないからです。誰もがシェフ(料理長)になれるわけではなく、スーシェフ(副料理長)が必要ですし、フロントデスクのスタッフや物流担当者など、さまざまな役割を持つ創業者がいます。必ずしもCEOを目指す創業者ばかりではないのです。
ロメロ: なるほど。場合によっては、異なる役割を持つ3人の人々が集まって1つのスタートアップを作ることもあるわけですね?
カシ: そうです、何人かが集まって1つのスタートアップを作ることもあります。そして、既存のアイデアを持ってきて、それを基にスタートアップを作る人もいれば、10週間のプログラム中に新たにアイデアが生まれることもあります。
(第2回に続く)
第2回では、Antlerのプログラムに関する日本国内での状況についてお話を伺います。
[このコンテンツは、東京を拠点とするスタートアップポッドキャストDisrupting Japanとのパートナーシップにより提供されています。 ポッドキャストはDisrupting Japanのウェブサイトをご覧ください]
翻訳:藤川華子 | JStories
編集:北松克朗 | JStories
トップ写真:Disrupting Japan 提供

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本記事の英語版は、こちらからご覧になれます
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