J-STORIES ー 生活排水の10%を占めると言われる洗濯排水。これを30%節約し、人体や環境に影響を及ぼす化学物質を一切使わずに、時間や電気も従来より大幅に短縮できる次世代洗濯機を日本発スタートアップが開発した。同社は、この洗濯機を使用したコインランドリーを日本全国45店舗で展開しており、水が少ない砂漠や災害地などの地域などでも世界展開を目指している。
「wash+」は、株式会社wash-plus(千葉県浦安市)が運営する環境や人体に優しいコインランドリー。水を電気分解したアルカリイオン電解水が、汚れなどに付着する油脂を分解して、石鹸化する作用がある為、合成化学物質などの洗剤を一切使わずに汚れを落とすことが可能だ。
また洗剤を使用しないので、すすぎの回数を1回に減らし、従来のコインランドリーよりも水量を約30%カットする節水効果もある。洗濯時間の短縮や電気代の節約にもなる。
同社は2022年6月から洗濯後の排水をろ過して再利用し、排水を限りなく少なくする「排水レス」コインランドリーの実証実験に乗り出した。
洗濯に利用した後の水は、天井のパイプを通り、バックヤードのろ過装置で処理を行った後に店内で再利用される。70〜95%の節水に繋がるという。
元々、こうした環境に優しいコインランドリーを始めたきっかけの一つは、同社代表取締役の高梨健太郎氏が自身の子育てを通じて洗剤アレルギーの問題に気づいたことだった。
現在でも一般的なコインランドリーでは備え付けの洗剤が自動的に投入される形をとっており洗剤の種類を選択できず、洗剤の成分についての表記もなく、アレルギーを持つ利用者が安心して使うことができない。高梨氏も以前は、特にそのことを疑問に思っていなかったが、子供が生まれて間もない頃、毎回入浴後に保湿クリームを塗ることを妻に求められたことがきっかけで、子供を中心に肌の弱い人がアレルギーなどの問題で洗剤に気を遣っていることを知った。
高梨氏の環境に優しいコインランドリーは、もともと、このような肌の弱い人に配慮したコインランドリーを作りたい、という動機が最初にあったのである。
同社は、コインランドリーのデジタル化も促進している。
スマホのアプリを使えば、遠隔で仕上がり時間の確認や、支払いが可能だ。インバウンドで増加している外国人観光客も使用できるように、店内パネルの多言語化やキャッシュレス対応にも力を入れている。また、一部店舗では小型ロボット「ロボホン」を活用した接客対応を行っている。
こうした環境に配慮された仕組みは、地域の自然環境や歴史の保全をすすめる「エコツーリズム」を重視する観光地でも評価されており、星野リゾートは2022年2月、日本初の「エコツーリズムリゾート」をめざす「西表島ホテル」での本格導入を始めた。
「wash+」は、砂漠や災害地など水資源が乏しい地域での活用が可能で、広く普及すれば、洗剤による海洋汚染の抑止効果も期待できる。同社は海外展開にも積極的で、高梨氏は J-STORIES の取材に対し、すでに米国でアルカリ電解水の特許を取得しており、ハワイなど米国市場での事業を進めていきたいとの意向を示した。
取材:高畑依実 編集:北松克朗
アップデート:小林陸 アップデート版 編集:一色崇典
トップ写真:wash-plus 提供
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I am wanting to start one here in the United States. Oregon specifically. I love the concept and creativity behind this idea.
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