東京都、水素タウンで描くグリーンな未来

COP28の枠組みを超えた東京水素ビジョンの展望

2023.12.12
By Riku Kobayashi
東京都、水素タウンで描くグリーンな未来
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J-STORIES ー 世界における脱炭素化の動きは年々高まりつつある。アラブ首長国連邦・ドバイで2023年11月末から12月12日まで開催中のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)では世界118ヶ国が、2030年までに再生可能エネルギーの容量を現在の3倍に増やす誓約に合意した。
再生可能エネルギーの中でも「グリーン水素」と言われる再生可能な資源で作られた水素エネルギーは、脱炭素化に加えて、高い貯蔵能力を持つことから電力の安定確保にも役立つ有力な次世代エネルギーとして注目されている。
こうした中、東京都の小池百合子知事は会議に先立つ11月、都内で国際会議「HENCA Tokyo 2023」を開催し、都が世界に先駆けて取り組んでいる街全体での水素活用をアピールした。
「HENCA Tokyo 2023」にてスピーチを行う小池百合子東京都知事     Desiderio Luna 撮影
「HENCA Tokyo 2023」にてスピーチを行う小池百合子東京都知事     Desiderio Luna 撮影
小池都知事は会議の冒頭に登壇し、東京湾岸の晴海地区が来年(2024年)春に、世界に先駆けた水素タウンとして生まれ変わることを宣言し、「水素エネルギーを活用する新たなモデルを世界に示すことになる」と語った。
再開発の対象となる晴海地区は、2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村として利用されていた地域である。同地区では大会中に仮設水素ステーションが設置されて、電源供給を行なった他、約500台の燃料電池自動車や燃料電池バスが大会関係車両として活用されるなど積極的に水素を活用した実績がある。
『HARUMI FLAG』とも呼ばれるこの地区には、2025年から分譲マンションへの入居が始まり、約1万2000人が住む予定だ。地区内に設置した水素ステーションから輸送パイプラインが各地に敷かれ、住民の共用部分へ電力用として水素の供給が行われる。この取り組みは実用段階としては国内初の取り組みで、東京都における水素活用の中心地となることが期待されている。
晴海地区 完成予定図     Ⓒ晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者 東京都 提供
晴海地区 完成予定図     Ⓒ晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業特定建築者 東京都 提供
小池知事は、昨年3月に発表した「東京水素ビジョン」において、東京が世界最先端の水素活用を行うとアピールしており、民間からの積極投資を呼びかける一方で、都内の水素製造設備製造メーカー等に対して、最大2億5300万円の助成金を行うなど、事業者などへの積極的な支援を表明している。
東京都は同ビジョンにおいて2030年に、温室効果ガス排出量を2000年比で50%削減する「カーボンハーフ」、2050年には、温室効果ガスの実質排出量をゼロにする「ネットゼロ」という目標を掲げている。
パネルディスカッションにて「東京水素ビジョン」について語る小池百合子都知事     Desiderio Luna 撮影
パネルディスカッションにて「東京水素ビジョン」について語る小池百合子都知事     Desiderio Luna 撮影
一方、最近発表された「東京都環境基本計画」によれば、2019年に達成された東京都のエネルギー起源のCO2 排出量は、2000年と比べて8%の減少に留まっており、2030年のカーボンハーフを実現させるためには、2019年の排出量から更に半分程度減らす必要がある。
会議の中で、一層の水素利活用推進のために小池知事は、「需要と供給のマッチングが必要だ」と語り、官民で連携した活動の推進を行うことが重要だと強調した。具体的な策として、空港、臨海エリア、関係自治体など連携し、海外から輸入するグリーン水素を大量に受入れることができるサプライチェーン(供給体制)の構築を目指すなどと述べた。
こうしたグリーン水素への取り組みを行なっている都市は、東京だけではない。パネルディスカッションでは、水素への投資など、具体的な取り組みについて各国の代表による発表が相次いだ。
オーストラリア、クイーンズランド州の代表として登壇したポール・マーティン氏(同州エネルギー・公共事業省次官)は、近隣の州と連携して同国の東海岸を縦断する水素スーパーハイウェーを作り、貨物の輸送に使用するという構想を披露した。同国と日本は、20年間以上の歴史がある信頼できるパートナーだとした上で、 「東京都をキーパートナーとして協力しながら、未来の水素産業をともに作りたい」と話した。
クイーンズランド州 エネルギー・公共事業省次官 ポール・マーティン氏 (右)     Desiderio Luna 撮影
クイーンズランド州 エネルギー・公共事業省次官 ポール・マーティン氏 (右)     Desiderio Luna 撮影
また、インドの代表であるシビ・ジョージ 特命全権大使は、同国が脱炭素化のための代替手段として水素の活用に積極的に取り組んでおり、グリーン水素の製造、使用、輸出のグローバルハブになることを目指していると述べた。その上で、日本の技術力とインドの豊富な資源を結びつけることで、「シナジーを産み、この分野における連携を強化する良い位置についている」として、両国の更なる関係強化への期待感を示した。
オンライン参加したインドのシビ・ジョージ特命全権大使     Desiderio Luna 撮影
オンライン参加したインドのシビ・ジョージ特命全権大使     Desiderio Luna 撮影
最後に小池都知事は「今こそ具体的な行動で未来を変えていく時だ。みんなの力を結集し持続可能な社会を作り上げていきましょう」と会議を締め括った。
この後、COP28の会議に参加する為、ドバイを訪れた小池百合子知事は、東京で水素の取引所を開設する構想を発表し、水素取引の透明化による利用促進を訴えている。
「HENCA Tokyo 2023」東京都産業労働局 YouTubeチャンネル
記事:小林陸 編集:一色崇典
撮影:デシデリオ・ルナ(Desiderio Luna)
この記事に関するお問い合わせは、jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

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本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。

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