眼病検査、スマホで簡単に

途上国や過疎地の医療に導入進む

4月 15, 2022
by yui sawada
眼病検査、スマホで簡単に
この記事をシェアする
J-STORIES ー スマートフォンに装着するだけで白内障などの眼疾患検査ができる医療機器が途上国や過疎地で市場を広げている。同機器を開発したOUI(東京・新宿区)によると、新たにインドネシアで現地の新生児の眼のスクリーニング(病気が疑われるケースの判別)が地元の医療機関との共同プロジェクトとしてスタートする予定だ。
スマホのカメラとライトを利用する同社の眼科機器「Smart Eye Camera(SEC)」は、白内障などの眼科疾患を簡便に診断できるアタッチメントで、眼科にある大型の医療機器と同等の確定診断が可能。眼科医が通常使用する顕微鏡装置の1/10の値段で購入でき、ポケットに入れて簡単に持ち運べる利便性もある。
スマートフォンの光源を細長いスリット状の光に変換することで、目の奥まで光を届かせ診療を容易にする     引用:OUI ホームページ
スマートフォンの光源を細長いスリット状の光に変換することで、目の奥まで光を届かせ診療を容易にする     引用:OUI ホームページ
OUIは慶應義塾大学医学部の眼科医が起業した大学発のベンチャー企業。同社の創業者であり眼科医である清水映輔さんらは、NPO法人(Fight For Vision ・FFV)の活動で、ベトナム農村地域の白内障手術のボランティアに参加しているが、眼科の専門医もおらず、医療機器も不足する状況下で、スマホの光を使って患者の眼を診察しようとする現地スタッフの姿を見て、SECのアイデアを思いついたという。
SECは離島や過疎地域の医療機関で使用されており、現地の医師と本土などの眼科医をつないで遠隔診療を行っている。そのシステムを使用して、海外ではアフリカや東南アジアなど20カ国、100台以上が普及している。
「Smart Eye Camera(SEC)」は現在、ケニアとベトナムで医療機器として登録されている     引用:OUI ホームページ
「Smart Eye Camera(SEC)」は現在、ケニアとベトナムで医療機器として登録されている     引用:OUI ホームページ
現在、世界の失明人口は4,330万人に上っており、2050年には1億2,000万人に増加するといわれている。同社はSECを活用し、「2025年までに世界の失明を半分に減らす」ことを目標に事業を進めている。
同社はSECが集めた画像データを分析したり、診断を補助したりできる人工知能(AI)を開発中で、来年度の完成をめざしている。このAIが完成すれば、眼科医でなくても、内科の医師などでも診断が可能になり、目の病気を発見できる可能性をより高めることできる。
清水さんはJ-Storiesの取材に対し、将来的な目標として「(SECに集まった)目のデータを使用して、目の病気だけでなく体の病気も見つけることができればいい。多くの人のヘルスケアの向上につなげていきたい」と語った。
「眼科医にとって患者が失明することは、医師にとって患者が亡くなることと同義だ」と話す、OUI CEOの清水さん     引用:OUI ホームページ
「眼科医にとって患者が失明することは、医師にとって患者が亡くなることと同義だ」と話す、OUI CEOの清水さん     引用:OUI ホームページ
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗 
トップ写真:Nestea06/Envato
この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

***

この記事に関する動画はこちらです

***

本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。
コメント
この記事にコメントはありません。
投稿する

この記事をシェアする
人気記事