母国ウクライナの授業をオンラインで

避難所の子供たちに日本のNGOも支援

7月 27, 2022
By Emi Takahata
母国ウクライナの授業をオンラインで
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J-STORIES ー ロシアの軍事侵攻により国外での避難生活を余儀なくされているウクライナの子供たちに、母国からの授業をオンラインで提供しようという国際的な支援活動が広がっている。日本からはNGOのピースウィンズ・ジャパン(PWJ、代表 大西健丞、本部:広島県神石高原町)が参加、ウクライナの隣国モルドバで子供たちが使うためのパソコンルームの運営などを始めた。
 この教育活動は、人道支援の専門家やテクノロジー産業の起業家らで構成する国際NGOのスマートエイド(smartAID, イギリス)が主導している。同NGOでは、被災民への緊急援助や中長期的な復興サポートなどのほか、「スマートクラス(Smart Classes)」と名付けた子供たちの教育継続プログラムに取り組んでおり、ウクライナ避難民に対してはすでに104か所でクラスを開いている。
PWJはイスラエルとモルドバのNGOと連携、モルドバ工業大学の学生寮の一部を借り、6月15日にスマートクラスの教室となるパソコンルームを開設した。ルームにはパソコンを20台設置、ネット回線なども整備した。ウクライナからのオンライン授業の受講や自習のスペースとして活用できる。
ウクライナ避難民の子供たちへの教育活動にあたる土肥さん(前列左から2番目)らPWJ、SmartAidのスタッフと生徒二人。モルドバに開設したパソコンルームで撮影。 PWJ 提供
ウクライナ避難民の子供たちへの教育活動にあたる土肥さん(前列左から2番目)らPWJ、SmartAidのスタッフと生徒二人。モルドバに開設したパソコンルームで撮影。 PWJ 提供
PWJによると、現地の避難所には簡単な間仕切りしかなく、子供たちにとって、周囲に気を遣うストレスの多い生活が続いている。そうした子供たちが集中して授業を受け、勉強できる環境を整えたいとの思いからスマートエイドと手を組んだ、とモルドバにいるPWJ事業調整員の土肥伶さんはJ-Storiesの取材に語った。
ただ、ルームの運営は、開始したばかりということもあり、なお様々な調整が必要だという。パソコン20台に対し、利用を希望する子供たちは45人いるため、授業や利用時間の割り振りが容易ではない。 
また、ウクライナが戦争要員として18歳から60歳の男性の出国を禁じているため、避難所には母親と子供の片親世帯が多い。乳幼児を抱え、時間がとれない母親に代わって、クラスに通う子供たちの面倒を見るコーディネーターの確保も大きな課題になっている、と土肥さんは指摘する。 
PWJでは、今回開いたパソコンルームの運営を早急に軌道に乗せ、今後はモルドバ国内の他の避難所にも拡大したいとしている。また、スマートエイドもクラスの数をさらに増やしていく予定で、教師の増員、PCなどの授業設備、文房具の調達などへの寄付を呼び掛けている。
モルドバ大学の学生寮内に開設されたウクライナの子供たち向けのパソコンルーム。 PWJ 提供
モルドバ大学の学生寮内に開設されたウクライナの子供たち向けのパソコンルーム。 PWJ 提供
記事:高畑依実 編集:北松克朗 
トップ写真:Peace Winds Japan 提供
この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

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上記の記事の内容は、動画リポート(英語)でもお伝えしています。

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本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。
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