J-STORIES ー 二酸化炭素(CO2)の発生や海洋汚染などの元凶ともなる石油由来のプラスチック。それに代わる生物由来の有機素材、バイオマスプラスチックの可能性を信じ、何年にもわたる赤字経営を乗り越えた日本企業がある。
バイオマスプラスチックは燃やしても二酸化炭素を増やさず、環境負荷が少ないうえ、動植物を再利用するサステナブル(持続可能)な素材だ。しかし、生産や利用はまだ十分に拡大していない。日本経済新聞によると、石油由来プラスチックと比べ1.5〜5倍ほど高い価格がハードルの一つになっている。
そんな厳しい市況にもかかわらず、バイオマスプラスチックの専門メーカー、バイオポリ上越(新潟県・上越市)は、4年にわたる大幅な赤字を乗り越えて黒字転換に成功した。
同業他社が相次いで倒産する中、同社がバイオマスプラスチックに取り組み続けた理由について、武田豊樹社長はJ-storiesの取材の中で「不要物や未利用資源から資源を生み出すことが人類にとってスマートな富の産出だ」と強い信念を語った。
同社長は新潟の地元メディアに対し「この技術を潰してはいけないという気持ちだった。絶対必要になる会社だと思っていた」とも話している。
同社は不要となったホタテの貝殻を使って弁当箱や箸を製造する一方、古米から年間200トンのバイオマスプラスチックのゴミ袋も生産する。日本の場合、1年間に約50万トンものホタテが水揚げされるが、ごみとして積み上げられる貝殻は約20万トンにものぼる。
日本では2022年4月からプラスチックごみの削減など「プラスチック資源循環法」が施行される。同社は有効活用できる再生資源の種類を増やす開発に取り組むなど、バイオマスプラスチック製品の生産拡大に意欲的だ。
記事:高畑依実 編集:北松克朗
トップ写真:picturepartners/Envato
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