[PODCAST]外国人創業者が変える日本のスタートアップの形(Part2)

In partnership with Disrupting JAPAN

3時間前
BY DISRUPTING JAPAN / TIM ROMERO
[PODCAST]外国人創業者が変える日本のスタートアップの形(Part2)
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JStoriesでは、革新的な取り組みを行う日本のスタートアップを海外に紹介している人気ポッドキャスト番組 Disrupting JAPANと提携し、同番組が配信している興味深いエピソードを日本語で紹介しています。以下にご紹介するのは、Antler Japanのパートナーであり、スタートアップエコシステムの発展に尽力しているサンディープ・カシさんとのインタビューで、複数回に分けて記事をお送りします。
*オリジナルの英語版ポッドキャストは、こちらで聴取可能です。
Disrupting JAPAN:Disrupting JAPANは、Google for Startups Japan の代表で東京を拠点に活動するイノベーター、作家、起業家であるティム・ロメロ氏が運営するポッドキャスト番組(英語)。ティム氏が数年後には有名ブランドになるポテンシャルがあると見出したイノベーティブな日本のスタートアップ企業をピックアップして、世界に紹介している
Disrupting JAPAN:Disrupting JAPANは、Google for Startups Japan の代表で東京を拠点に活動するイノベーター、作家、起業家であるティム・ロメロ氏が運営するポッドキャスト番組(英語)。ティム氏が数年後には有名ブランドになるポテンシャルがあると見出したイノベーティブな日本のスタートアップ企業をピックアップして、世界に紹介している
Disrupting Japan の創立者で自ら番組ホストも務めるティム・ロメロ氏
Disrupting Japan の創立者で自ら番組ホストも務めるティム・ロメロ氏

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今回は、起業家であり、世界的なベンチャーキャピタルAntler(本社:シンガポール)の日本法人であるAntler Japanでパートナーを務めるサンディープ・カシさんにお話を伺います。
ベンチャーキャピタルには「アイデアには誰も投資しない」という格言があります。これは、アイデアは簡単に思いつくもので、それだけではほとんど価値がないということを意味しています。
この格言はある面ではまだ真実と言えますが、完全に正しいわけではないようです。
カシさんにはインタビューの中で、Antlerがどのようにアイデアに投資しているのかを説明してもらいました。Antlerは基本的には企業に投資しますが、もしアイデアを持って彼らのもとに行けば、そのアイデアをスタートアップに進化させるために多くのリソースを提供してくれるのです。
また、外国人起業家が日本で直面している課題や、日本の創業者は英語が話せないという偏見についても話しました。そして、外国人起業家たちがどのように日本の創業者のスタートアップの立ち上げ方を変えているのかについても深く掘り下げてあります。とても興味深い内容ですので、ぜひお楽しみください。
(全7回シリーズの2回目。第1回目の配信・Part1 はこちらでご覧になれます。)

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急成長するAntler日本プログラムの現状

Antler Japanのパートナーであるサンディープ・カシさん 提供:Antler株式会社
Antler Japanのパートナーであるサンディープ・カシさん 提供:Antler株式会社
(前回の続き)
ティム・ロメロ(インタビューアー、以下ロメロ): (Antlerのプログラムについて)日本の場合、応募者数や選考を通過する人数、最終的に投資を受ける人数はどうなっていますか?
サンディープ・カシ(以下、カシ):日本は少し異なります。もちろんご存知のように、日本では少しずつ変化が起きています。日本のスタートアップ環境は徐々に進化しています。私が2012年に日本で会社を立ち上げた当時、スタートアップにとって非常に厳しい状況でした。日本にはエンジェル投資家(起業初期の企業に資金提供を行う個人投資家)もリスクキャピタル(スタートアップ企業などに対して将来のリターンを期待して高いリスクを伴う投資を行うための資金)もほとんど存在していませんでした。
しかし、Antlerが入ってきたことで、大量のリスクキャピタルが投入され、これがエコシステムを少し変えていると思います。例えば、前回の日本でのプログラム(「Antler Residency in Japan - Batch 3 -」)では、950件の応募があり、その中から69件が選ばれました。その69件の中で24チームがアイデアを形にし、そのうち7チームが投資を受けました。
ロメロ:なるほど、つまり日本ではスタートアップにとって成功する確率がずっと高かったということですね。
カシ:現在行われている第4回のプログラム(「Antler Residency in Japan - Batch 4 -」)では、応募者数は1300人でした。その中から89人か90人が選ばれたと思います。今、投資委員会(投資決定を行う投資家や専門家の集まり)には14チームが参加しています。おそらく、その中から8~10チームが投資を受けることになるでしょう。

なぜ日本では投資を受けやすいのか──大学研究者と外国人創業者

ロメロ:それを聞いてとても嬉しいですが、少し意外にも感じます。というのも、みんなが「日本にはスタートアップが少なく、まだ初期段階だ」と言っているからです。でも、参加する創業者たちは、プログラムに選ばれる確率が高いだけでなく、投資を受ける確率も高いようですね。これは応募者数が少ないからだと言えるかもしれませんが、実際に投資を受ける可能性が高いという点はどう説明できますか?なぜ日本ではこのように数字が違うのでしょうか?
カシ:数字が異なるのは、日本には非常に多くの専門的な知見があるからです。その理由をお話しします。私たちが創業者を迎える分野は2つあります。一つは大学のバックグラウンドを持つ創業者です。彼らは博士号取得を目指しているか、博士号取得後の研究者(ポスドク)で、これまで研究してきた技術やアイデアなどの知的財産(IP)を市場に出したいと考えています。しかし、スタートアップ経験が不足しているため、その部分を補ってくれる共同創業者を探すためにプログラムに参加するのです。
もう一つ注目すべき動きとして、この10年ほどでAmazonやGoogleといった多国籍企業が日本に進出し、海外から多くの人材を呼び込んできたことがあります。例えば楽天グループやAmazonなどでは、インドや米国など各国から赴任してきた社員がたくさん働いています。彼らは日本で3〜4年勤務したあと、「そろそろ自分で事業を立ち上げたい」と考えるようになります。そこで、Antlerが登場するわけです。
写真提供:Envato
写真提供:Envato

応募者の約7割が外国人創業者

ロメロ:とても興味深いことに、Antler Japanのピッチデイ(投資家向けの短いプレゼンイベント)でメンター(助言者)や審査員を務めた際、多くの外国人創業者が参加していました。皆さん日本在住ではありますが、外国人の割合が高かったのが印象的でした。
カシ:そうですね。実際、彼らはここ3〜5年の間に市場に入ってきた人たちです。高いスキルを持つ優秀な人材が次々と日本に集まってきています。日本におけるAntlerのプログラムの最初の2回は、日本人だけで構成されていましたが、成功率はそれほど高くありませんでした。ところが、プログラムを完全に英語で実施するように切り替えた途端、興味深い変化が起きました。日本語しか話せない人であっても「グローバルな会社をつくりたい」「世界で活躍できる共同創業者を見つけたい」と考え、応募してくるようになったのです。
ロメロ:それでは現在、プログラムに応募する外国人創業者と日本人創業者の割合はどのくらいですか?
カシ:まだ実績が2回分しかなく、十分なデータはありませんが、これまでのところ応募者の約7割が外国人です。

日本人もグローバル企業を目指して参加

ロメロ:外国人創業者が7割ということですね。ここには相反する2つの要素があります。ひとつは、世界中どこのスタートアップ・エコシステムでも、外国人住民が非常に大きな役割を担っているという点です。米シリコンバレーでも英ロンドンでも、それは同じです。もうひとつは、日本人を英語のみのプログラムに参加させるのがとても難しいという点です。
カシ:その通りです。
ロメロ:Googleにいたときも、本当に難しいと感じました。こうした点がどのくらい影響していると思いますか?やはり日本人は英語だけのプログラムへの参加をためらう傾向があると感じますか?
カシ:当初、私たちも「英語のみのプログラムでは日本人の参加が難しいだろう」と考えていました。ところが意外なことに、その影響はほとんど見られませんでした。むしろ、多くの日本人が外国人の創業者と一緒に参加し、最初からグローバルな会社をつくろうとしています。前回のプログラムでは日本人の創業者は少なかったものの、「グローバルな会社を立ち上げたい」と考える日本人は数多く参加していました。
ロメロ:なるほど、それは理想的な形ですね。チームの中でも、そしてエコシステム全体でも、多様なバックグラウンドを持つ人同士が交流し、刺激を与え合うことが大切ですから。
(第3回に続く)
第3回では、Antlerのビジネスモデルや大学との連携方法、日本の大学発スタートアップが直面する課題についてお話しします。
[このコンテンツは、東京を拠点とするスタートアップポッドキャストDisrupting Japanとのパートナーシップにより提供されています。 ポッドキャストはDisrupting Japanのウェブサイトをご覧ください]
翻訳:藤川華子 | JStories
編集:北松克朗 | JStories
トップ写真:Envato 提供

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本記事の英語版は、こちらからご覧になれます
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