土に戻せる「ポケモンTシャツ」

和紙を素材にサステナブルファッションを実現

9月 15, 2022
by yui sawada
土に戻せる「ポケモンTシャツ」
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J-STORIES ー 「ポケットモンスター」に登場するモグラのようなポケモン「ディグダ」。ディグダが生息する土地はほどよく耕され、美味しい野菜ができる最高の畑になると言われている。今年5月、その名をネーミングにとり、着古した後は土に戻せるというサステナブル(持続可能な)ファッションが登場した。
和紙を素材にした「ディグダのやさしいTシャツ」。ポケモンのブランドビジネスを展開するポケモン(東京都港区)が、「着ているうちにだんだんボロボロになって最後は土に還す」というアイデアをもとに売り出した。主に植物性の素材で作られているため、土に埋めれば自然の肥料にもなるという。
縫い糸にも、通常のアパレルのようにポリエステルは使わず、環境に配慮した糸を使用。ネック部分のブランドネームと洗濯の絵表示もポリエステルではなく綿を使った。
このTシャツは、アパレルメーカーのワールド傘下のOriginal Japan(東京都港区)が製造を手掛けている。同社は余剰在庫の廃棄を避けるためオーダーメード方式で受注している。環境にやさしい素材で洋服の生地を作成したのは今回が初めてだという。
ディグダのTシャツは、縫い糸にも和紙素材の生分解性の高い糸を使用している。     ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
ディグダのTシャツは、縫い糸にも和紙素材の生分解性の高い糸を使用している。     ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
和紙から作る繊維は、土に埋めると微生物によって分解されるとともに、和紙の糸が餌やすみかになって微生物が増え、土壌を活性化させる。
土壌の化学分析を事業とするDGCテクノロジー(茨城県つくば市)が実施した分析によると、この和紙Tシャツの生地を混ぜた土壌では、51日後の微生物の多様性・活性値の平均値が、何も加えていない土壌より3.3倍も高かったという。
ポケモン図鑑によると、「ディグダが通ったあとの大地はほどよく耕されて最高の畑になる」。       ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
ポケモン図鑑によると、「ディグダが通ったあとの大地はほどよく耕されて最高の畑になる」。       ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
ディグダのTシャツ企画を推進したうちのひとりであるポケモンのディレクター、小杉要さんはJ-Storiesの取材に対し、「アパレル製品の廃棄が問題になる中、着古したあとに、土に還る商品が開発できれば、地球環境にやさしい新しい商品になるということで企画を立ち上げた」とし、「(今回の企画が)環境問題について目を向けるきっかけとなればうれしい」と語った。
Original Japanでプロジェクトリードを勤める根本 大地さんは、「ポケモンという多くの方々に認知いただいているキャラクターとコラボレーションすることで、『サステナブル』という考えをひとりでも多くの人に身近な問題として興味を持ってもらいえるよう期待している」と話している。
ディグダのTシャツは、和紙素材の他にも、スビン(Suvin Cotton、インド南部のみで栽培される希少価値の高い繊維)の糸を紡ぐ際に落ちた綿を再利用した「リサイクルスビン」とインドのオーガニックコットンをブレンドしたコットン素材のTシャツも環境にやさしい商品として販売している。
サステナブルファッションとして売り出された和紙素材のTシャツ(左)とコットン素材のTシャツ。      ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
サステナブルファッションとして売り出された和紙素材のTシャツ(左)とコットン素材のTシャツ。      ©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
記事:澤田祐衣 編集:北松克朗 
トップ写真:©2022 Pokémon/Nintendo/CR/GF
この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

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