認知症の早期発見に挑む東北のティーンエイジャーたち

AI搭載のインソール型センサーで、認知症の可能性を予測

9月 1, 2022
by emi takahata
認知症の早期発見に挑む東北のティーンエイジャーたち
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J-STORIES ー 認知症患者に見られる特有の歩行時のすり足やふらつきに着目し、発症のサインを早期に発見する装置を高等専門学校の生徒らが開発した。これまで認知症かどうかを知る手段は、親族や周りの人がその人の行動の異常や変化に気づき、病院で診察を受けるのが一般的だったが、IoT(モノのインターネット)を搭載した同装置「D-walk」は、靴に装着し歩くだけで、認知症になっているかだけでなく、将来の発症を予測できる可能性があるという。
インソール型の足圧センサーを入れた靴を履いて歩くことで加速度などから認知症の可能性を予測する。     一関工業高等専門学校 提供
インソール型の足圧センサーを入れた靴を履いて歩くことで加速度などから認知症の可能性を予測する。     一関工業高等専門学校 提供
「D-walk」を開発したのは、一関工業高等専門学校(岩手県一関市)の生徒3人で活動しているTeam MJ。このほど、第3回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2022(DCON2022)に出場して最優秀賞となり、10億円の企業評価額を獲得した。
DCONは一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催、高専生が研究開発活動を競うコンテスト。ものづくりの技術と、AI(人工知能)のディープラーニングを活用した作品への資金支援をはじめ、高専生に起業の機会を提供する場となっている。
「D-walk」を開発したTeam MJは、認知症の症状の大きな特徴であるすり足歩行と歩行時のふらつきに着目。腰につけるスマートフォンと靴底に入れるセンサーからの情報をもとに、認知症の可能性をスコアで提示する。歩くだけで、そこから得たデータをもとに認知症の分析と予防ができるという。
健常者と認知症の中間と判断されるMCI(軽度認知障害)と呼ばれる症状の場合は、この装置を使って進行を抑える対応が可能になり、健康な状態の回復にもつながると期待している。
高齢者白書によると、日本では2025年には全人口の5人に1人、20%が認知症になると言われているが、未だ認知症の治療薬はない。認知症はさまざまな要因から脳が萎縮したり、ダメージを受けたりすることで発症すると言われるが、軽度で早期であれば抑制でき重症化を抑えられるという。
D-walkを開発した、Team MJ。一関市の高齢者約100人から集めた歩行データをもとに製品を開発。     一関工業高等専門学校 提供
D-walkを開発した、Team MJ。一関市の高齢者約100人から集めた歩行データをもとに製品を開発。     一関工業高等専門学校 提供
記事:高畑依実 編集:北松克朗 
トップ写真:travnikovstudio / Envato
この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

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