JStories – 今、台湾のスタートアップが日本市場へ熱い視線を送っている。「大阪・関西万博」が賑わいを見せる中、8月19日から22日まで、「2025 Taiwan Tech Week」が万博と連動する後援イベントとして開催される。スマートシティやAI(人工知能)といった最先端の分野で活躍する注目企業約30社が参加する予定だ。これは、台湾の国家発展委員会(NDC)が推進するイニシアチブ「Startup Island TAIWAN」の一環であり、台湾スタートアップの新しいビジネス機会を創出するとともに各社の企業ブランドを国際的にアピールする狙いがある。

イベントのハイライトは、「次世代ユニコーン」と期待されている台湾スタートアップ企業が8月20日と21日に開催するピッチセッションだ。このイベントには、大阪府や大阪商工会議所、日本貿易振興機構(ジェトロ)大阪本部なども参加を予定している。
会場となるのは、阪急阪神不動産が運営する共創スペース「NORIBA10 umeda」。阪急電鉄・大阪梅田駅の2階中央改札口を出てすぐのところにあり、未来の共創に向けて、スタートアップや関係者らのイベントの場として活用されている。

「NORIBA10 umeda」を運営する阪急阪神不動産の岡本信秀氏は、台湾に駐在した経験があり、台湾のスタートアップに対する期待も大きい。今回のイベントでは台湾スタートアップと日本企業がワン・オン・ワンで話し合う機会を是非実現したいと話す。
「台湾そのものもそうですが、台湾スタートアップのスピード感には驚かされます。また、テック系技術と生活利便性の融合を非常に巧みに行っている印象があり、多くは日本でも活用できると思っています。そのような台湾スタートアップを関西に呼び込むのは非常に意義深いことだと考えており、この機会をとらえて関西の良いパートナーとマッチングしてもらいたいと望んでいます。」

「梅田ビジョン」、危機感を原動力に
阪急阪神が台湾のスタートアップに強い関心を寄せる理由を岡本氏は次のように語る。
「関西でのオープンイノベーションを一層促進していきたいと考えています。まずは梅田からこの機運を盛り上げ、関西全体に広げていきたいと思います」
阪急阪神不動産ではイノベーションの促進に取り組んでいる。複数のスタートアップ企業が、阪急阪神不動産の従業員が提案したテーマに沿った内容のピッチを行う「阪急阪神不動産 事業共創 AWARD」を、2020年から開催している。2024年のイベントでは台湾のスタートアップ1社も選出された。

大阪・梅田地区の価値向上に向けて、阪急阪神ホールディングスが2022年に打ち出したのが「梅田ビジョン」だ。同グループの事業資産の多くが梅田に集中しており、この街の国際競争力アップがグループ全体の価値向上に繋がる。このビジョンのもと、最大の事業拠点である大阪・梅田を「国際交流拠点都市」へと高め、世界とつなぐことを構想している。ビジョンを具現化する施策の一つが「NORIBA10 umeda」の開設とそこで実施する取り組みだ。

万博を契機に、梅田は東アジア連携拠点へ
大阪は今、国際都市としての存在感を高める好機を迎えている。現在開催中の「大阪・関西万博」や2029年開業予定の統合型リゾート「大阪IR」、そして内閣府による「スーパーシティ型国家戦略特別区域」の指定など、国内外から大きな注目が集まっている。
岡本氏は、この機会を捉え、大阪・梅田をさらに国際交流拠点都市に押し上げていくためには、やはり台湾発のスタートアップをはじめとしたスピード感がありイノベーティブな企業の活力が必要だと感じている。今後は世界からスタートアップをはじめとする多様な企業・人材を受け入れて、オープンイノベーションを促進したい意向だ。
「世界のイノベーターと交流することで、連携のチャンスが生まれます。そのイノベーターの一つが台湾のスタートアップです」。岡本氏はこの取り組みを通じて、「梅田ビジョン」の実現、ひいては関西経済のさらなる成長に貢献したいと述べた。
記事:JStories
トップ写真: Startup Island TAIWAN 提供
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